トヨタよ、本当に大丈夫か。心配になるほど遅すぎたEVシフト

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アメリカの自動車メーカーとディーラーの間には、大きなギャップがあるようです。世界的エンジニアで米国在住の中島聡さんは自身のメルマガ『週刊 Life is beautiful』で、電気自動車を売る気がないとすら思えてしまう自動車ディーラーの姿勢が明らかになった調査結果を紹介するとともに、電気自動車シフトにもたつくトヨタに対して苦言を呈しています。

※ 本記事は有料メルマガ『週刊 Life is beautiful』2019年1月29日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール中島聡なかじまさとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

私の目に止まった記事

Car companies aren’t even trying to sell electric cars

どの自動車会社も電気自動車の時代が来ることは強く意識しており、実際にプラグイン・ハイブリッド車や電気自動車を売り始めてはいますが、実際に自動車を販売しているディーラーの行動とは大きなギャップがあるという話です。

Sierra Club(カルフォルニアの環境保全団体)が全米300のディーラーで調査したところ、ディーラーで働いているスタッフは電気自動車のことを理解しておらず、試乗しようとしても充電されていなかったり、連邦政府による税金クレジットについて説明できなかったり、という状況だったそうです。

私も、全く同じような経験をBMWのディーラーでしたことがありますが、その背景には、ガソリン車・ディーゼル車を売った方が利益率が高い(ディラーはサービスでも儲けることが出来る)、電気自動車へのシフトは出来るだけ遅らせたい(そもそも生産量が少ない)などの事情があります。

これがまさに、米国で「テスラの一人勝ち」を作り出している原因でもあり、こんな状態が後2年も続くことになったら、先を走るテスラとの差はとても大きなものになってしまいます

それにしても、トヨタ自動車の動きは本当に遅くて心配になります。「電気自動車を作ろうと思えばいつでも作れる」ことは分かりますが、実際に消費者にとって魅力的な電気自動車、売れる電気自動車を作ることは簡単ではないと思います。充電ネットワークの充実も必要だし。

後から考えると、「ハイブリッドの成功が逆に仇になった」とか「水素自動車市場が思うように立ち上がらなかった」のが原因という事になるのでしょうが、ハイブリッドだけでは勝負できないことも、水素がダメなことも2年ぐらい前から明確だったので、その時点から本気で電気自動車の開発をしていれば今頃市場に投入できているはずです。

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