看板を掛け替えただけの監察委
【読売】は1面左肩と3面の解説記事「スキャナー」、4面には参院本会議の詳報。見出しから。
1面
- 外部委の聴取12人のみ
- 不適切統計 次官級ら一部同席
3面
- 「調査急げ」
- 厚労省混乱
- 省内組織を元に監察委
- 不適切統計 ずさん手法
- 「国会対応のための第三者委」識者指摘
uttiiの眼
《読売》はまだ、「統計不正」(《読売》は不適切統計としか書かないが…)問題を報じるのは、いまいち気が進まないようだ。1面トップには「特別養子縁組」の制度改正に関する記事を持ってきている。それはそれとして重要だが、1面トップにすべきことかどうか。
1面左肩は他紙と同じ、特別監察委員会の聴取で、外務委員が聴取したのは12人のみで、しかもその中の何人かについては次官級の審議官と官房長、あるいはそのどちらかが同席して質問までしていたという内容の記事。
解説記事の方はどうか。
こちらも解説対象は、監察委員会の問題。なぜ「中立性が大きく揺らいだ」のか、検討している。
最初に調査を開始した「監察チーム」は件の官房長をトップとして2016年に発足した内部調査組織で、設置以来、外部専門家の顔ぶれも変わっていなかったもの。その外部委員5人をそのまま特別監察委の委員とし、トップに樋口美雄労働政策研究・研修機構理事長を据え、全体を再編成して作られたのが「特別監察委員会」なるもの。厚労省の職員が聴取するというのは、「監察チーム」の頃からやってきたことだった。委員の一人は「従来の監察チームの延長の組織という認識だった」と語ったという。
わずか1週間で調査結果を公表したのは、政府・与党の強い意向があったからで、「28日の国会召集前に監察委の調査結果を公表することで事態収拾を図ろうと考え、厚労省に迅速な調査を求めた」と、特に根拠を示さず断定的に書いている。外部委員による委員会に切り替えた時点で、「中立性は最も重要な要素だったが、同省がその視点を欠き、拙速に調査を進めたために、かえって批判が広がった」と叱っている。
「スキャナー」の最後段は、障害者雇用の水増し問題の時の第三者検証委員会や私立大支援事業を巡る汚職事件の際に設けられた調査チームと比べても、今回は「手続きのずさんさが目立つ」として、最後に、組織論の専門家の見方を紹介。専門家は、「今回は内部の調査を引き継ぐのではなく、最初から第三者委員会で徹底的な調査をするべきだった」とし、今から、「別の第三者委員会を作り、少なくとも1ヵ月は掛けて調査をし直すべきだろう」と提案している。全く同感だ。