現在の緊張関係を見ていると、非常に難問に見えますが、それを可能にするカギを握るのは、地域大国として復活してきたトルコでしょう。
軍事的なcapabilityを考えると、イランとイスラエルという反目しあう両国も挙げられますが、これまでにもISという共通の脅威を目の当たりにしても協力することが叶わなかったため、どちらもイニシアティブをとることはできないでしょう。
しかし、その両国をコミットさせることができるのは、イランともイスラエルとも良好な関係を保っているトルコです。カショギ氏の事件以降、サウジアラビアの首根っこを掴んでいるため、サウジアラビアもトルコのすることには口出しできなくなっていますし、何よりも、ISを掃討することについては、利益が一致するため、トルコのリーダーシップに対して反対することはないでしょう。
それは、永遠の流浪の民であるクルド人勢力にとっては、トルコの勢力の拡大と中東諸国が“トルコの方針”を受け入れることは、悲劇の拡大となりかねませんが、残念ながら、米国が地域からの撤退を進めようとする中、彼らの分は悪くなる一方と言えるでしょう。
もし、トルコを中心とした取り組みが頓挫してしまうようなことになったら。考えたくはないですが、第3次世界大戦の火種は、北東アジア地域ではなく、中東地域から上がるかもしれません。
中東各国とは、安部外交の成果もあり、非常に親密な関係を築いてきている日本ですが、その親密さにもかかわらず、中東で起きようとしている悲劇の連鎖については、報じられていません。
経済的な権益、特に石油や天然ガスという権益の重要性に鑑みると、もう少し、かの地で何が起きているのかということに関心を持ち、できれば、トルコはもちろん、イスラエル、イラン、サウジアラビアなどとも良好な関係を持つ国として、この悲劇を食い止めるとてもとても大事な役割を担ってほしいと願っています。
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