4つ目の視点は、将来のありたい状態、姿を明確にすることによって問題に気づく、見つけるという見方です。2つ目に取り上げた視点に似ていますが、この視点は、現在の状態の前提となっているものをすべて取り払い、発想を転換させて「ありたい将来像」を描くことが大切だと言えます。
既成概念にとらわれずに、将来にどうなりたいかを考えて、将来のありたい状態、姿を描き、その状態、姿と現時点での状態、姿との差を「問題」として捉えます。
例えば、当日に注文を受けて、その当日に商品を日本中のお客様のもとへ届けるという状態が、将来のありたい状態、姿と想定します。現時点での社内での業務や、物流体制などを前提とすると、とても難しいことかもしれません。この前提に縛られてしまうと、将来のありたい状態、姿を描くことはできませんね。
そこで、こういった前提となっているものをすべて取っ払って考えることによって、自分たちの理想の姿、ありたい状態を明確化することにつながります。明確にしたありたい状態、姿と現状の姿とのギャップが「問題」となります。ここであぶり出した問題は、今すぐに取り組める問題ではなく、長期的な視野を持って取り組む問題と言えるでしょうね。
部屋の片付けに対する姿勢についてもこの視点で問題を洗い出すことができます。例えば、現在の片付け方が、散らかったら片付けるという状態だとします。そこで、将来のありたい状態、姿を、使ったものは使い終えたらすぐに片付けるとともに、片付けるだけではなく、要るものと要らないものを分けることができ、よく使うものはすぐに取り出すことができる状態が理想だとします。
このように将来のありたい状態、姿を明らかにすると、現時点での状態との間にギャップが生じるので、時間はかかるかもしれませんが、その問題に対しての解決策(例:指定した場所に名札をつけておくなど)を色々と考えることができるのではないでしょうか。
私たちは、問題はいけないもの、悪いものといったように、否定的に捉えがちではないでしょうか。しかし、問題を「工夫、改善するための種」「もっと良くするためのチャンス」などと前向きに捉えていくことが必要ではないかと思います。
聴講した研修等の中でも聴かれることですが、「問題がない」ということは、実は、「問題に気づく、問題を見つける力がない」と、捉えることもできるのかもしれません。
今号で考えた4つの視点で問題をあぶり出し、その問題に対して色々とアイデアを出して、解決していきたいですね。
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