「カラ出張」と朝日新聞
まずは、1つ目の、「朝日新聞は税申告において、たびたび国税から不正を指摘されており、当時も税務調査で多額の課税漏れを指摘されていた」ということについてご説明します。
あまり大きく語られることはありませんが、実は朝日新聞という新聞社は脱税の常習犯なのです。ここ十数年でも、2005年、2007年、2009年、2012年に、「所得隠し」などをしていたことが新聞各紙で報じられています。
特に2009年2月に報じられた脱税はひどいものでした。その内容というのは、2008年3月期までの7年間に約3億9,700万円の所得隠し(仮装隠蔽)をしていたというものです。この所得隠しのうち、約1,800万円は「カラ出張」でした。そして、このときは、「所得隠し」以外にも申告漏れが指摘されており、申告漏れの額は全部で約5億1,800万円でした。
所得隠し(仮装隠蔽)というのは、売上を隠したり、架空の経費をでっち上げたりするなどの「不正行為」のことです。不正行為があった場合は、重加算税という税が課されます。そして、不正行為の額が大きい場合は、「税法違反」で起訴されることになり、それが事件用語においてのいわゆる「脱税」です。脱税として起訴される所得隠しの金額の目安は、だいたい2億円程度とされています(それより少ない金額でも起訴されることはあります)。朝日新聞の所得隠し額は約3億9,700万円であり、起訴されてもおかしくない額なのです。つまり、朝日新聞は、運よく起訴を免れているだけであり、内容的には刑事事件に該当する「脱税行為」を行っていたのです。
筆者は、元国税調査官であり、いろんな脱税行為、所得隠し行為を見聞きしてきましたが、「カラ出張」というのは相当に悪質なものです。かなり、素行の悪い企業でも、カラ出張まで行うようなことはめったにありません。このときは朝日新聞もヤバいと思ったらしく、京都総局の当時の総局長を停職処分にしたり、東京、大阪、西部、名古屋の各本社編集局長を減給処分にしています。