女子小学生「袴」卒業式で見えた、思春期教育の後進国ニッポン

 

終わっているのは、職業教育だけではありません。

核家族を作って、子育てをし、社会が滅びないように次世代に継承して行く教育もほぼゼロです。

買春教師がクビにならない一方で、男女交際が犯罪視され、妊娠した女子高生は放校処分になる、社会を見回せば「単身赴任」などという世界で日本だけの悪習が残っていたり「結婚と子育てのロールモデル」として「ああなりたい」というケースは非常に少ない中で、結婚や子育てへの動機付け教育がされないというのはもう「社会として終了」という感じです。

そもそも逸脱禁止という刑務所のような教育も、一体何を考えているのかわかりません。少なくとも、18歳に選挙権を与えるということは、思春期を通じて主権者になる教育をするということです。

主権者というのは、規範に100%疑問なく従属するのではなく、規範を疑い、規範の過剰な部分を発見し、また足りない規範を発見して、規範が良い形で機能するような制度設計をする人のことを言います。

そのようなスキルを身につけるには、規範を逸脱するという訓練もスキル獲得と、思考力を身につけるための通過儀礼としては必要です。そのようなことを一切させないで、18歳選挙権になって「主権者教育をしなくてはならない」から「困った困った」と言っている教師も、もう完全に終わっていると思います。

サービス業や、福祉の世界でヒューマンタッチを持ったサービス提供者になる場合にも、規範に100%従うだけでは足りません。具体的な規範は「より上位の規範」の道具だという中で、救命とか相手の満足とか、問題解決という上位の概念といいますか目標を実現するためには、ここの規範は常に修正が必要だということを分かって、その規範の修正・改善に貢献しつつ規範について「守るだけでなく責任も取れる」人材にしなくてはダメです。

最近話題の「バカッター」横行というのは、そうした訓練が全くできていないことを示しています。

とにかく、日本の思春期教育はこのままではダメです。

家庭のレベルではまず子供の思春期から逃げないことです。前思春期に過剰なケアをすれば、思春期入りした途端にギクシャクするのは目に見えているのですから、もっと柔軟かつドッシリ構えて子供の思春期を受け止めるべきです。

学校のレベルでは、とにかく受験、部活、校則で思考停止させる刑務所教育をやめることです。では、何にシフトするのか?

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