場合によっては支給停止に。他人事ではない障害年金の基礎知識

 

さて、3年ごとの診断書の提出が求められていた中で、平成27年の誕生月である7月に提出した更新の診断書の状態により2級から3級に下がる事になった。症状も落ち着きつつ、パートで働けるようになっていた。

数年ごとに定期的に提出してもらう診断書は誕生月に送られてきて、提出期限は誕生月末。障害等級が下がる場合は診断書提出月である誕生月の4ヶ月目(平成27年11月分の年金)から等級変更となる(上がる場合は誕生月の翌月分から改定)。

  • 平成27年11月分から障害厚生年金3級→32万円÷1,000×7.125×300ヶ月=684,000円月額57,000円のみ

次回診断書の提出は平成30年7月だった。更に症状は安定していったので、平成30年7月に出した診断書の結果により平成30年11月から3級にすら該当しないという事になった。つまり平成30年11月分の年金から0円となる。ついに障害年金の支給は停止となったので、障害年金の権利はもうなくなったと思っていた。まあ停止にはなってますが、権利は消滅していない

3級にすら該当しなくなって3年間(平成33年10月)まで、もしくは65歳までのどちらか遅いほうまでは権利は消滅しない。だから65歳までは一度発生した障害年金の権利は無くならないと思ってていい。

どういう事かというと、もし今後症状が悪化してしまった場合は、停止を解除してもらい(支給停止事由消滅届という専用書類がある)また診断書出して障害年金を支給してもらう事が可能

例えば、平成39(新元号9)年3月に凄く症状が悪化したとしたら、悪化した事を理由に診断書と支給停止事由消滅届を出して、その翌月から年金の停止が解除となり年金の支給が再開される。最初の障害年金の請求時のようなまたいろいろ1から書類を集める必要は無い。

この時に2級の状態だったら、

  • 障害厚生年金2級684,000円+障害基礎年金2級780,100円=1,464,100円月額122,008円

もし65歳未満の生計維持してる配偶者と18歳年度末未満の子が2人居たとしたら、それぞれの加給年金が付く。そうなると

  • 障害年金総額は障害厚生年金2級684,000円+配偶者加給年金224,500円+障害基礎年金2級780,100円+子の加算金224,500円×2人=2,137,600円月額178,133円

となる。

追記

障害年金を受給してる際の国民年金保険料は2級以上は法定免除(全額免除ですが将来の老齢基礎年金の2分の1の額には反映)になる。この女性は平成14年11月分の国民年金保険料から全額免除となっている(障害年金の受給権が平成14年12月に発生したのでその前月分から全額免除)。

なお、平成30年11月から3級にすら該当しなくなってるが、平成33年10月分の国民年金保険料までは法定免除が使える。法定免除になるが、もしその間に厚生年金や国民年金第3号被保険者になった場合は法定免除にはならない。

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佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
その翌年に民間企業を退職してから年金相談の現場にて年金相談員を経て統括者を務め、相談員の指導教育に携わってきました。
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【著者】 年金アドバイザーhiroki 【発行周期】 不定期配信

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