ヨガを学んでわかった、日本語を話す私たちがストレスフルな訳

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日本語を話すときには、胸式呼吸になるのが自然なようです。そして、胸式呼吸は交感神経を刺激するため、ストレスや緊張を高める効果があるのだとか。メルマガ『ジャーナリスティックなやさしい未来』の著者でジャーナリストの引地達也さんが、ヨガのインストラクターと進めている「ストレスリリースの方法」の講義内容から、呼吸と言語の関係について、そのエッセンスを紹介しています。

ストレスをリリースする呼吸と言語の相関について

「ストレスリリースの方法」の講義をヨガのインストラクターとともに構成する作業をしていて実感するのは、「すべては呼吸から始まる」ということである。

呼吸を意識して腹式でゆっくりと吸って吐くことを繰り返すだけで体はリラックスする。それまでの悩みや不安などアタマやココロにあったもやもやを忘れてしまうから効果は大きい。呼吸1つで目の前の風景はかわり、人生も変わる、のも大げさではないのかもしれない。

「誰もが抱えているストレス」なのだからと放置して自然に治るのを待つのもよいが、呼吸法を教えられて考えたのは、私たちが使う日本語の言語的な性格上、呼吸は胸式となり、知らずと発生するストレスは必然であり、それを調整するにはやはりうまく腹式呼吸を活用するのが、よい方法なのは間違いない。

日本語の特徴は圧倒的に母音で終わる言葉が多いことである。母音とはア、イ、ウ、エ、オであり、発音は胸式呼吸で語感は穏やかで柔らかなものになり、話し方も同様に多く息を吐く必要がない穏やかでゆっくりとした話し方になる。

一方の英語は子音優位の言語で、基礎的な語の8割は子音で終わる。発音は腹式呼吸で破裂音や摩擦音があり、語感は強く鋭いものになり、話し方も強く鋭くなる。

結果的に日本語は自己主張を避け、人との和を重んずる話し方に適し、英語は自己主張を外部にはっきり伝えるのに適していることにつながる(平出正嗣・千葉大教育学部『発音とリズム』千葉大学教育学部紀要等を参照)。つまり、日本語を日常的に使う場合は、意識的に腹式呼吸をする必要があるといえる。

日本語と連動する胸式呼吸は、胸を大きく広げての呼吸が難しいため、浅い呼吸になる傾向がある。吸った空気が肺の中に入り難いために、肺の中に酸素が行き届き難くなるということで、二酸化炭素などが肺の中に残るため血行が悪くなることがある。

加えて自律神経の交感神経を刺激し、ストレスや緊張が高まるために自律神経のバランスを壊してしまうのである。しかしながら交感神経の調整は集中力を高めるのにも寄与するから、日常の活動で交感神経が活発に働くことは重要だ。

一方の腹式呼吸は、横隔膜を大きく動かして呼吸を行なうから深い呼吸となる。胸式とは違い多くの酸素を肺に送り込み、肺の中の二酸化炭素などが残り難くなり、血行が促進されるのである。

結果的に胸式に比べ腹式は横隔膜の動きが副交感神経を刺激してストレスや緊張から解放される効果がある。内臓活動が活発化するから消化活動も盛んになり、リンパ球が増えることで免疫力も高まる

だから、腹式呼吸を意識することがストレスリリースで推奨されるわけだが、自分の使っている言語から呼吸を意識することから始めるのは新しいかもしれない。

日本語は落ち着いた言葉ではあるが、リズムには弱い。やはり腹式の呼吸でリズムが伴えば必然的にオペラにもミュージカルにも適してくるのが英語である。

とはいえ、呼吸も言語もストレスも生きていることと同義と言えるほど身近な存在だから、私たちはそれぞれに意識的に理解しながら、付き合っていきたい。それが結果的にストレスリリースにつながるのだと思う。

image by: Rawpixel.com, shutterstock.com

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特別支援教育が必要な方への学びの場である「法定外シャローム大学」や就労移行支援事業所を舞台にしながら、社会にケアの概念を広めるメディアの再定義を目指す思いで、世の中をやさしい視点で描きます。誰もが気持よくなれるやさしいジャーナリスムを模索します。

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