対策を実行する
次に、2つ目の原因「年収が低い」について、「5回のなぜ」を行ってみましょう。次のように、対策を導いてみました。
- 1回目:年収が低いのは、会社の利益が低いからである
- 2回目:利益が低いのは粗利率が低いからである
- 3回目:粗利率が低いのは、値引き販売をしているからである
- 4回目:値引き販売をするのはマーケティング力がないからである
- 5回目:マーケティング力がないのは、マーケティングを勉強していないからである
ここから、行うべき対策は「マーケティングの勉強会を開く」ということになります。ここでも「勉強」が必要ということになってしまいました。もちろん、対策はこれだけではありません。
また、2回目の「なぜ」の答えに、「利益率が低いのは、仕入原価が高いからだ」とか「利益に対する意識が薄いからだ」ということが出てきてもおかしくはありません。その場合、その原因ごとに3回目、4回目と「なぜ」を繰り返していきます。そして、4回目の「なぜ」では、「マーケティング力」という答えが導き出されました。
しかし、それまでに、「競合店が値引き販売をしているから」とか、「粗利率の高い商品を販売していないから」とか、「粗利率目標が全社で共有されていないから」とかといった答えが出れば、対策は別のものになっていきます。
こうしてみると、一つの原因から導き出される対策は、必ずしも一つだけではありません。とはいえ、出てきた対策は、全部を同時に実行できるものではないでしょう。優先順位をつけて、実行していくことです。そうすれば、一歩ずつ問題が解決していきます。
いかがでしょうか。「5回のなぜ」を使って、問題解決法に迫ってみました。トヨタは、この手法を徹底しているからこそ世界一になれたのだと思います。あなたのお店も、何か問題に当たったとき、この「5回のなぜ」を繰り返してみれば、解決法が見つかるかもしれません。
■今日のツボ■
- トヨタの品質管理法に「5回のなぜ」がある
- 「5回のなぜ」を使うと、効果的な解決法が見つかる
- 見つかった解決法には優先順位をつけて実行する
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