なぜトヨタ式「5回のなぜ」で会社の問題はカイゼンされるのか?

 

対策を実行する

次に、2つ目の原因「年収が低い」について、「5回のなぜ」を行ってみましょう。次のように、対策を導いてみました。

  • 1回目:年収が低いのは、会社の利益が低いからである
  • 2回目:利益が低いのは粗利率が低いからである
  • 3回目:粗利率が低いのは、値引き販売をしているからである
  • 4回目:値引き販売をするのはマーケティング力がないからである
  • 5回目:マーケティング力がないのは、マーケティングを勉強していないからである

ここから、行うべき対策は「マーケティングの勉強会を開く」ということになります。ここでも「勉強」が必要ということになってしまいました。もちろん、対策はこれだけではありません。

また、2回目の「なぜ」の答えに、「利益率が低いのは、仕入原価が高いからだ」とか「利益に対する意識が薄いからだ」ということが出てきてもおかしくはありません。その場合、その原因ごとに3回目、4回目と「なぜ」を繰り返していきます。そして、4回目の「なぜ」では、「マーケティング力」という答えが導き出されました。

しかし、それまでに、「競合店が値引き販売をしているから」とか、「粗利率の高い商品を販売していないから」とか、「粗利率目標が全社で共有されていないから」とかといった答えが出れば、対策は別のものになっていきます。

こうしてみると、一つの原因から導き出される対策は必ずしも一つだけではありません。とはいえ、出てきた対策は、全部を同時に実行できるものではないでしょう。優先順位をつけて実行していくことです。そうすれば、一歩ずつ問題が解決していきます。

いかがでしょうか。「5回のなぜ」を使って、問題解決法に迫ってみました。トヨタは、この手法を徹底しているからこそ世界一になれたのだと思います。あなたのお店も、何か問題に当たったとき、この「5回のなぜ」を繰り返してみれば、解決法が見つかるかもしれません。

■今日のツボ■

  • トヨタの品質管理法に「5回のなぜ」がある
  • 「5回のなぜ」を使うと、効果的な解決法が見つかる
  • 見つかった解決法には優先順位をつけて実行する

image by: Sombat Muycheen / Shutterstock.com

梅本泰則この著者の記事一覧

ワン・トゥー・ワンコンサルティング代表。スポーツ用品業界での経験と知識を生かし、業界に特化したコンサルティング活動を続ける。
スポーツ用品業界在籍33年の経営コンサルタントが、スポーツショップの業績向上法について熱く語ります。スポーツショップのために書かれた、日本初のメルマガです。ここには、あなたのお店がかかえている問題を解決するヒントがいっぱいです。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ! 』

【著者】 梅本泰則 【発行周期】 週刊

print
いま読まれてます

  • なぜトヨタ式「5回のなぜ」で会社の問題はカイゼンされるのか?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け