4月3日、IMFは米中貿易戦争が長引き、お互い貿易追加関税をしかけ合う事などを想定すると、2国間貿易が最大で70%も落ち込むという衝撃的な試算を発表しました。これを受け、無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんは、米中覇権戦争が世界経済に与える影響の中でも、特に日本への影響は大きいとし、そのプラスとマイナスの両面を詳しく解説しています。
IMF、「米中貿易は【70%】減少する」
RPEでは去年の早い時期から、「2019年から世界経済ヤバくなります。危機に備えましょう」という話をしてきました。そして、実際そうなってきたこと、皆さんもご存知です。メルマガでもたとえば、
● もはやドロ船。中国から米はおろか自国企業も逃げ出し始めた
● 中国とは和解せず。経済戦争休戦明けの3月、トランプが下す鉄槌
● 日本電産ショック、リーマン級の危機迫る?
などで、「実況中継」してきました。世界経済は、これからどうなるのでしょうか?陰謀論、トンデモ系から「もっとも遠いところにある国際通貨基金「IMF」は、こんな「恐ろしい予測」をしています。
米中貿易、7割減も=協議決裂すれば世界に波及-IMF
4/3(水)23:12配信
【ワシントン時事】国際通貨基金(IMF)は3日発表した世界経済見通しで、米中貿易協議が決裂し、双方が全品目に25%の追加関税を発動すれば、2国間貿易は長期的に30~70%落ち込む恐れがあるとの試算を示した。製造業の国際分業が広がる中、「関税や貿易戦争の影響が世界全体に波及するリスクが高まる」と警鐘を鳴らした。米国は中国からの輸入品の約半分に当たる2,500億ドル(約27兆8,000億円)相当に追加関税を発動。このうち約2,000億ドル分は10%から25%への引き上げを留保している。
米中が全品目に25%の追加関税を発動すれば、米中貿易は長期的に「30~70%落ち込む」恐れがあるそうです。最大「70%減少する」と。まあ、「30%減少」でも大変ですね。
そうなる可能性はあるのでしょうか?あるでしょう。なぜか?今回の話は、ただの「米中貿易戦争」ではありません。「米中覇権争奪戦」なのです。アメリカは、「ここで負けると、わが国は覇権国家から転落し、中国が世界の覇権を握る!」と恐れている。こういうケースで、「まあ、これも時代の流れだ。中国さんに覇権を譲りませう」というようなことはメッタにない。
約100年前、イギリスは、挑んできたドイツを叩きのめしました。ドイツは、それでもまた復活して戦いを挑んできた(ヒトラー)。イギリスは、また叩きのめしました。
今は、米中両国とも大量の核兵器を保有している。それで、米中の戦闘は起こりにくい。ですが、戦いは、形態をかえて起こっている。それは、情報戦(たとえば、中国はウイグル人100万人を強制収容所にぶち込んでいる非人道国家だ!)。外交戦(仲間を増やして、敵国を孤立させる)。経済戦(関税引き上げ、ファーウェイ排除)など。