元国税が論破する「公共事業を増やせば賃金が上がる」の大ウソ

 

国民の賃金は下がり地方はさびれた

それでもこの巨額の公共事業により、国民の賃金が上がったり、公共事業を請け負った地域が活性化したならば、まだ救いがあります。しかし、そういう形跡は一切なく、むしろその逆なのです。

630兆円の公共事業計画は、1995年から10年間続けられましたが、国税庁の統計データによると、1998年から日本人の平均賃金が下がり始めたのです。高度成長期前からほぼ一貫して(オイルショックなどの一時期を除いて)日本人の賃金は上がり続けていたのですが、1998年を境に日本人の賃金は下降しはじめ、それから20年近く下がり続けたのです。つまり、巨額の公共事業計画を行っている真っ最中に日本人の賃金は下がり始めたのです。

公共事業信者の方々は、「公共事業を増やせば賃金が上がる」と信じ込んでいるようですが、それはまったくの机上の空論なのです。それは、日本の90年代から現在までのデータを見れば、誰でもわかることなのです。公共事業信者の方は、このような基本データさえ押さえることなく机上の暴論を振り回しているのです。

またこの時期に公共事業をたくさん請け負っていた地域は、どんどん寂れていっています。島根県が良い例です。近年の島根県は、失業率も高く、県外の流出も多くなっています。島根県をこういう状態にしたのは、90年代の公共事業のせいです。島根県は、故竹下元首相や青木参議院議員など有力な国会議員を輩出してきた県です。島根県出身の国会議員たちは、こぞって島根県に公共事業を誘致し、そのことで自らの政治権力をアピールしてきました。

このため島根県の経済は、90年代から2000年代にかけて、公共事業にまったく頼りきった体質になってしまったのです。県民一人あたりに使われる公共事業費は、全国で常時5位以内に入り、北海道や沖縄に匹敵するほどの公共事業を受注してきました。それほどの税金を使われながら、島根県は数十年の間、人口流出でワースト10に入るほどの過疎県となってしまったのです。しかも、日本の政府は、90年代の公共事業について何ら反省することもなく、「財政赤字は社会保障費のせい」などとトンデモない嘘をついています。

公共事業信者の方々の描いている「公共事業救世モデル」というのは、公共事業が理想的な形で行われて初めて実現できるものなのです。しかし、今の日本では、公共事業が理想的な形で行われるのは絶対に不可能なのです。その日本の事情をまったく考慮せずに、机上の空論を振りかざし、公共事業さえ増やせば経済はよくなると信じ込んでいる公共事業信者の方々というのは、本当に愚かだと筆者は思います。

「公共事業さえ増やせば経済はよくなる」信者の方、ぜひ、反論をお願いします。その際には、必ず、根拠のあるデータをつけてくださいね。(メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』より一部抜粋)

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※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2019年4月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

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