元国税が論破する「公共事業を増やせば賃金が上がる」の大ウソ

 

630兆円をドブに捨てた日本

そして、最大の愚行は、その使い道です。実は日本では、公共事業というのは、非常に税金の無駄遣いになりやすいものです。当時、公共事業というのは、政治家に食い物にされていました(もちろん今でも変わっていません)。有力な国会議員は、地元に公共事業を誘致することで、その政治手腕を誇示します。それにより政治資金や支持者を集めるというのが、政治家の選挙戦略の有力な手段となっていたのです。

当時の日本では、建設業者が政治家を強力に指示する母体になっていたのです(今でもその傾向はあります)。建設業者は、支持者を集めるだけではなく政治資金も提供してくれるからです。当時、日本の政治家の半数近くは、建設業者によって食わせてもらっているような状態でした。政治家は公共事業を誘致して建設業者を潤す、建設業者は寄付をして政治家に還元する、こういう食物連鎖が完全に出来上がっていたのです。

つまり、日本で公共投資を増やせば、それは真に国民のためになることには使われず、政治家と建設業者の利権に費消されてしまう、ということです。当時の日本では実際に、その通りのことが起きてしまったのです。日本は630兆円もの巨額のお金を愚にもつかない箱モノをつくったり、無駄な橋や道路をつくるばかりで浪費してしまったのです。

この当時の公共事業がいかに無駄遣いだったか、そのわかりやすい例をしめしましょう。

80年代から後半から2000年代にかけての公共事業で、目玉的に進められていたのが、四国と本州の架橋です。この時期、四国と本州の間には、なんと3本の橋がかけられたのです。もちろん、莫大な費用が生じました。それほど人口が多いとは言えない四国に3本もの橋をかけるのは、明らかに多すぎだったはずです。

その一方で、四国では基本的なインフラ整備が遅れており、下水道普及率が世界的に見ても非常に低いのです。四国の四県のうち、三県で50%を切っています。徳島県に至っては、下水道普及率は17.5%なのです。この数値は先進国はおろか、東南アジアの普及率よりも低いのです。アフリカが、ちょうど約17%なのです。つまり、徳島県の下水道普及率は、未開の原野が広がり、紛争が絶えないアフリカと同じ程度なのです。巨額の金をかけて、橋を三本も架けている一方で、足元の下水処理はまったくおざなりになっているのです。いかに日本の公共事業に無駄が多いかということです。

下水道の普及率が低い四国の県

 

  • 徳島県:17.5%
  • 高知県:36.8%
  • 香川県:43.9%

またこの当時の巨額の公共事業は、少子高齢化を食い止めるようなことには一切使われていません。それどころか、待機児童問題は放置され続け、国公立の大学の授業料は10倍以上挙げられているのです。金の使い方が根本的におかしいのです。

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