たかが、されど1カ月。年金受け取り額を大幅に変える恐ろしい仕組み

 

じゃあ仮にこの夫に239ヶ月の厚生年金期間で、240ヶ月に1ヶ月足りなかったらどうなっていたのか。

この場合は中高齢寡婦加算は付いてなかった。子が18歳年度末を迎えて遺族基礎年金が消滅した後は完全に遺族厚生年金のみとなっていた。よって1ヶ月の加入の違いで天と地の差になったりするのであります。

更に言うと、この夫は全体の年金加入期間は301ヶ月ありましたよね。まあ…25年と1ヶ月ですね。そして死亡時は国民年金のみ加入中。

じゃあもし、この夫に300ヶ月に1ヶ月足りない299ヶ月だったとしましょうか。この場合は遺族厚生年金は支給されていませんでした

遺族基礎年金を支給するかどうかは死亡日の前々月までの保険料納付要件(過去に未納が3分の1を超えてないか)を見て判断する。

国民年金からの遺族基礎年金780,100円と子の加算金224,500円のみの支給で、遺族厚生年金が不支給なので子が18歳年度末を迎えると遺族年金は完全に0円になる。

過去に加入した240ヶ月分の厚生年金はちょっと特殊な条件を満たさないと遺族厚生年金としては全く貰えない。

老齢の年金は10年の加入で貰えるようになりましたが、遺族年金の場合は原則25年以上(免除期間やカラ期間も含む)というのは変わらないので、できれば25年は満たしておいたほうが万が一の場合には残された遺族には救いとなる。もちろん25年を満たさなくても、厚生年金加入中の死亡とかで過去の未納がそんなになければ遺族厚生年金が支給されたりしますけどね。

それでは今日はこの辺で。

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佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
その翌年に民間企業を退職してから年金相談の現場にて年金相談員を経て統括者を務め、相談員の指導教育に携わってきました。
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