会社に届いた個人宛の親展封書。開封したら会社は罪に問われる?

 

深田GL 「親展の開封は、『信書開封罪という刑法に規定されている秘密を侵す罪』の一つにはなるんです」

O社社長 「信書っていうと…」

深田GL 「『信書』とは、特定の人に対する自己の意思・思想・感情の伝達を媒介すべき文書のことを言います。『文書』とは、文字、符号等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物のことです。個人から国や地方公共団体に宛てた信書、国や地方公共団体から個人に宛てた信書もこの犯罪の対象になりますが、国・地方公共団体同士の信書のやり取りは、この犯罪の対象ではありません」

O社部長 「そういえば、信書のことは、以前、クロネコヤマトのメール便を使っていた頃勉強したことが少しありますねー」

新米 「(おっ、ボクも一緒だ…)」

深田GL 「信書の封をあけることに『正当な理由』があれば、違法性が阻却され、信書開封罪は成立しないのですが…」

O社部長 「正当な理由って?」

深田GL 「『正当な理由』がある場合とは、法令上認められている場合や権利者の承諾・推定的承諾がある場合緊急避難が必要な場合などです」

O社社長 「ふむふむ…」

深田GL 「家族の場合を例にすると、ケースバイケースともいえますが、一般的には未成年の子供宛ての信書は親権の範囲内で親が開封をすることは可能です。子どもの学校から送られてきた手紙には『宛名』に父親の名前しか書いていないこともありますが、母親も子の親権者ですから母親が開封することには、『正当な理由がある』と言えます。夫宛てに送られてきた光熱費の請求書等も家計を預かる立場なら『正当な理由がある』と言えるでしょう。ところが、いくら仲のよい家族であっても、友人からの手紙などの開封行為は、『正当な理由は認められにくいと言えます」

新米 「家族の例はわかりやすいですね」

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