認知症は悪なのか。差別を助長する「数値目標」に強烈な違和感

 

誤解ないように断っておきますが、予防に努めるのはとても有意義だし大切なこと。国が積極的に取り組むことで、多くの自治体が高齢者に無料で体操教室を開催し、食事教育を行ったり、多くの高齢者が楽しむが増えることには大賛成です。

私の母も近くの高齢者交流館に、「それ体操教室だ!」「それコーラスだ!」と毎日楽しそうに通っています。それは家族にとっても有難いことです。

しかしながら、「認知症」という言葉をまるで病名のように使ったり、「予防すれば認知症にならない」とイメージを助長するような取り組みは高齢者を逆に追い詰めることにもなりかねません

「迷惑をかけてしまって申し訳ない」
「なんでこんなバカになってしまったのか」
「一所懸命努力してるんだけどね…」
「こんなになってしまって恥ずかしい」
「認知症になって子に恥をかかせたくない

etc.etc…。

これらは年をとり、「今までできていたことができなくなった」高齢者が、こぼす言葉です。

誰もが年をとれば認知機能は低下するし、誰もが年をとればできていたことができなくなるのに、「認知症」という言葉だけが一人歩きし、“凶器”になっている。認知症差別なるものが始まっている。そう思えてなりません。

繰り返しますが、積極的にみんなが予防に取り組むことは大賛成です。

でも、もっともっと「年をとれば誰もが認知症になるんだよ~。年のせいなんだからしょうがないでしょ~」と、笑顔で言えるような価値観が社会に浸透するような啓蒙活動に取り組み、認知機能が低下することが怖くない、どんなになっても安心して暮らせる社会を作ろうという意識をも浸透させる必要があるのではないでしょうか。

私もやがて年をとる。私もやがて認知症機能が低下する。でも…「社会のお荷物」にはなりたくありません。

みなさまのご意見もお聞かせください。

image by: Shutterstock.com

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※『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』(2019年5月22日号)より一部抜粋

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