【恋愛工学】「地味」で「一途」な女が金持ちをつかむ生物学的根拠

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男は重い女が好きなのか嫌いなのか

『藤沢数希メールマガジン「週刊金融日記」』第142号(2014年12月29日配信)

先日の伊藤春香さんとの対談で、僕は付き合う女というか、ある程度コミットしている女は、一途で都合がいい女、100%コミットしてくれる女のほうがいい、と言ったら、彼女は猛然と反対して、そんな女は「重い!」と思われてバッサリと切られるだけだ、と言っていた。そのときは、僕はそれは愛情表現というかコミットの仕方がお馬鹿なだけで、やっぱり男は一途な都合がいい女が好きなんだ、みたいなことを言って、会話は噛み合わなかった。

男は「都合がいい女」が好き?

そのことを考えていて、僕もふと思い出した。そういえば、僕も20代ぐらいのときまでは、重い女に引いてたなぁ、と。ということは、つまり、彼女の経験則もある意味正しくて、僕の好みもある意味で180度変わったわけだ。どうしてだろうと僕は深く考えた。その結果、身もフタもない結論が出たので、今日はそのことについて書こうと思う。このことは女性読者が恋愛戦略を考える上で、とても役に立つのではないかだろうか。

さて、結論から書こう。それは要するに、自分が定期的にセックスしている女が妊娠したときに、責任の所在がどこにあると(本能が)認識していて、その後の子育てに(本能が)コミットしているかどうか、ということなのだと思う。

女には、子供を育てるためのGood Dadと、優秀な遺伝子を得るためのGood Genesを分離するというなんとも大胆かつ狡猾な繁殖戦略が、進化の過程で発達してきたのは、これまでも何度も説明してきた。このメルマガの読者はよくご存知だろう。この複雑でリスクの高い戦略をやり遂げるために、女心もまたあのように複雑でトリッキーな方向に進化した、というのが僕の解釈である。

『週刊金融日記 第12号 Good Genes or Good Dad?』
『週刊金融日記 第13号 女の生理周期と浮気の関係』
『週刊金融日記 第17号 なぜ素人女のセックスの方が高いのか?』
『週刊金融日記 第22号 1+1が2ではない男のカオとカネ』
『週刊金融日記 第42号 女心の基本的な数理モデル』

男女の進化は軍拡競争だ。女がこのように男を欺く戦略を発達させている間に、男のほうも遺伝子のコピーを労せずして増やす戦略を発達させている。男にとって、進化生物学的に非常に美味しい戦略は、「ヤリ捨て」である。女を妊娠させる確率を残しながら、その後のコストから逃げるのだから、これは非常にコスト/プロフィット比がいい。もっとも、男も子育てに加わったほうが、子供が無事に成長して繁殖活動ができるようになる確率も高まるので、子育てが無意味だと言うことはない。しかし、子育てのコストがゼロで、自らの遺伝子を拡散できるチャンスを得ることができる、ヤリ捨て戦略、あるいは付き合った女を妊娠させてから逃げる戦略は、進化生物学的には、非常に利得のあるものだったことが容易に想像できる。

こうしたヤリ捨てしようとする男に対向するため、メルマガ読者にはおなじみだが、女は非常に多様な男をテストするための方法を身に付けてきたのだ。出会い、デートから関係を一歩一歩進めるときに女から次々に課される各種テスト、連れ込もうとするときに発生するグダグダ、ベッドに着いてからの最終抵抗……。恋愛工学は、こうした女たちが課す様々なテストを突破するためのテクノロジーだとも言える。

本能レベルの言語で表現するとこういうことだろう。ある程度コミットしているように見せかけ、付き合い、何度も女とセックスして、確実に妊娠させてから逃げる、あるいは二番目以下に格下げしてコミット量を順次減らしていく、という逃げ道を男は本能的に残しておきたい、ということだ。だから、そうした逃げ道を塞ぐことを要求するような、女からの重い愛情表現を男は避けるのだ。また、ある程度モテる男なら、美人から「付き合ってください」と告白されるより、ちょっと可愛いぐらいの女とバーで飲みながら、何のコミットも要求されずに、流れでその日にセックスしてしまう、みたいなシチュエーションのほうがよほど美味しいと思うはずだ。これも前者は、多大なコストが暗に要求されているが、後者はコストを伴わないセックス、つまり、妊娠、その後の子育てへのコミットは要求されていない、と男の本能は判断するからだろう(誤解のないように書いておくと、男がこんなことを意識して考えているわけではなく、男の恋愛感情を司っている原始的な本能のアルゴリズムを、言語化して表現しているだけだ。実際、大脳新皮質に司られている男の意識レベルでは、避妊もするし、各種法的責任、世間の目などを理解している。こちらの論理的で高度な脳のほうは、実際に女が妊娠するとむしろ中絶するように懇願する。しかし、男女の恋愛感情や性欲は、言葉も理解できない、脳幹や脊髄、大脳辺縁系に支配されているのだ)。

そうやって考えると、僕が学生時代には、重い女が嫌いだった理由も明らかだ。この女に一生縛られるなんてうんざりだ!というわけだ。また、本能的には、彼女が妊娠したとしても、自分が責任を取らされるとは思っていなかったのだろう。そもそもお金もないから、責任なんて取れないし。

そして、気が付くと、少なくとも週に1回はセックスするような継続的な関係を持つ「独身」女に関しては、いつも好き好きと言ってくれて、こっちのスケジュールに合わせていつでも会いにきてくれるような女、ある意味でとても重たい女、お馬鹿な女が、僕は大好きになっていたのだ!

その間の僕にいったい何が起きたというのだろうか。

そう、僕は金持ちになっていた(笑)

これはよく考えて見れば当たり前のことだ。三股ぐらいかけている若くて綺麗な女がいるとする。僕が貧乏な学生で、その3人のうちの1人だったとしよう。彼女が万が一妊娠したとして、彼女が一番責任を取らせたいのは僕ではないはずだ。なぜなら僕は貧乏だからだ。つまり、そのような立場なら、進化生物学的には、むしろ三股状態は美味しいと言える。しかし、僕がその中で圧倒的に一番金持ちで、生活水準が高かったらどうだろう? その子供が誰の精子由来であれ、白羽の矢が立つのは僕ではないか。だとしたら、進化生物学的には、自分の子が本当に自分の子であるという確証が欲しくなるはずなのだ。

こうして金持ちは、重いぐらいの一途な女を、可愛いと思うようになるのだ。

逆に、責任を取るつもりもない、あるいは金がないから責任を取りたくても取れない、貧乏なモテ男の場合は、軽い女のほうが好きなのだ。

少なくとも継続した関係を持つ女に関しては。

女も男をテストしているように、男もまた女をテストしていて、継続した関係にするかどうかは、最初の3~5回ぐらいのセックスの間に見極めているような気がする。

高級タワーマンションに住んでいると、住人の奥さんがみんな揃いも揃ってけっこう地味、しかしブスではない、ぐらいな感じなのが、僕はずっと気になっていた。キラキラの派手な奥さんは意外と少ないのだ。

長年の謎が、今日解けたような気がする。

この話は、第43号の『すぐにした方がいいのか』にもつながっていくのだが、それはまた今度解説しよう。

 

『藤沢数希メールマガジン「週刊金融日記」』第142号(2014年12月29日配信)

著者/藤沢数希
理論物理学、コンピューター・シミュレーションの分野で博士号取得。欧米の研究機関で教鞭を取った後、外資系投資銀行に転身。以後、マーケットの定量分析、経済予測、トレーディング業務などに従事。また、高度なリスクマネジメントの技法を恋愛に応用した『恋愛工学』の第一人者でもある。月間100万PVの人気ブログ『金融日記』の管理人。主な著書:『なぜ投資のプロはサルに負けるのか』(ダイヤモンド社、2006年)『日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門』(ダイヤモンド社、2011年)『反原発の不都合な真実』(新潮社、2012年)
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