経済的発展が「見えなくしたもの」。それが30年前のあの日の出来事だったように思えてなりません。
中国ではNHKの海外テレビ放送のニュース番組で、天安門事件に関する部分が突然真っ黒な画面になり、放送が中断したと報じられています。経済発展が進む中、中国政府は天安門事件を「なかったこと」にしようとしているのです。
そして、日本でも「あの頃の中国」を知る若者はいません。「中国」といえば「爆買い」。そんなイメージだけになってしまいました。
中国の民主化運動の象徴的存在で、2017年に死去した人権活動家の劉暁波氏が2009年に書き、2010年のノーベル平和賞の授賞式で読み上げられた文章の一節を記します。
私には敵はいないし、恨みもない。私を監視する人も、取り調べる警察官も、起訴する検察官も、判決を言い渡す裁判官も、皆、私の敵ではない。私は彼らの仕事と人格を尊重する。恨みは個人の知恵や良識をむしばみ、社会の寛容性や人間性を壊し、1つの国家が自由で民主的なものへと向かうことを阻む。
私は望んでいる。私の国が表現の自由のある場所となり、異なる価値観や信仰、政治的な考え方が共存できるようになることを。私は望んでいる。私が、中国で、文章を理由に刑務所に入る最後の被害者となることを、そして、今後、言論を理由に罪とされる人がいなくなることを。
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2019年5月分
- 「無差別殺傷事犯に関する研究」より/オレにも言わせろ! ほか(5/29)
- 「認知症」差別への懸念/「他人の足をひっぱる男たち」(25) ほか(5/22)
- 「終身雇用=悪」とする三流経営/「他人の足をひっぱる男たち」(24) ほか(5/15)
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※『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』(2019年6月5日号)より一部抜粋