完全に出遅れた平成。日本が中国企業に食い込める日は来るのか

 

デフレ不況で眠っていた日本企業群

さらにこの数年間で新しい産業を引っ張っている「GAFA」と呼ばれるグーグル(Google)、アップル(Apple)、フェイスブック(Facebook)、アマゾン(Amazon)などに対抗しているのは、中国の国家プロジェクト「AI発展計画」で政府が指名した5大プラットフォーマーの「BATIS」だ。

バイドゥ(百度・Baidu、自動運転)、アリババ(阿里巴巴・Alibaba、スマートシティ)、テンセント(騰訊・Tencent、ヘルスケア)、アイフライテック(Iflytek・科大訊飛、音声認識)、センスタイム(SenseTime・商湯科技、顔認識)などで、世界はGAFABATISの戦いとなっており日本は完全に出遅れている

日本はバブル崩壊後にデフレ不況に陥り、大金融緩和で物価上昇率を2%に押し上げてデフレ脱却を宣言したが、いまだに目標を達成できず、超低金利政策を2020年春まで続ける方針だ。それでも21年度の実質成長率見通しは1.2%、物価上昇率は1.6%でデフレ脱却の展望がみえていない

また、賃金水準も時給は20年で9%も下落しており主要国で唯一のマイナスとなり貧困の連鎖が切れていない。むしろ低金利政策の長期化により金融機関の体力が低下、中小金融や地方銀行は合併再編に追い込まれているのが実情だ。

内部留保は莫大だが使い道を見出せず

しかし、企業の内部留保は約500兆円に上り、個人資産も400兆円を下らないといわれ、決して本当の貧乏になっているわけではないのだ。

企業は新しい投資、製品・研究開発にカネを使わず貯めるたけだし、個人も将来の不安に備えて貯蓄に励むというのが今の日本の姿といえる。投資をして、新製品を開発して輸出個人消費に火をつける魅力ある回転に日本を戻さない限り、日本はただただ沈滞していく運命にあるのではないか。かつての高度成長期の熱気を取り戻し、アメリカ、中国などに対抗してGAFA、BATISのような新アイディアを出す知恵と投資熱が待ち望まれる。

外務省は「令和」を海外向けに「Beautiful Harmony」などと美しい言葉で宣伝したいようだが、全く熱気は感じられない。来年の今頃、はたして「令和」はどの程度定着しているだろうか。

(TSR情報 2019年5月29日)

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ジャーナリスト。1942年生。慶応大学経済学部卒業後、毎日新聞社入社。大蔵省、日銀、財界、ワシントン特派員等を経て1987年からフリー。TBSテレビ「ブロードキャスター」「NEWS23」「朝ズバッ!」等のコメンテーター、BS-TBS「グローバル・ナビフロント」のキャスターを約15年務め、TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」に27年間出演。現在は、TBSラジオ「嶌信彦 人生百景『志の人たち』」出演。近著にウズベキスタン抑留者のナボイ劇場建設秘話を描いたノンフィクション「伝説となった日本兵捕虜-ソ連四大劇場を建てた男たち-」を角川書店より発売。著書多数。NPO「日本ニュース時事能力検定協会」理事、NPO「日本ウズベキスタン協会」 会長。先進国サミットの取材は約30回に及ぶ。

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【著者】 嶌信彦 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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