大人になると時間が過ぎるのが速く、子供の時間は長くて遅い理由

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大人になるほど時間が経つのが速く感じられるのは「トキメキがなくなったから~」と、おかっぱ頭にピンクの服の5才児が言っているのを聞きました。しかし、メルマガ『8人ばなし』の著者・山崎勝義さんはもう少し考えてみたようです。そして、子どもの「ワクワクドキドキ」と、大人の「ワクワクドキドキ」では、性質に違いがあることに気づいたのです。すなわち、楽しいものだけを選択する大人と、未知のものすべてに立ち向かう子供の違い。そう考えると、今日1日を必死に生きてぐっすり眠る子供をより愛おしく思えると結んでいます。

体感時間のこと

年を取るほどに時間が経つのが速く感じられると言う。自分もあっと言う間の1年を毎年のように体感している。

これを心理学あるいは児童心理学的に説明すれば、大人になればなるほど未経験のことをしたり未知のものを見たりする機会が減って行くために情動記憶の平板化が起こってしまうからだと言う。簡単に言えば、毎日が代わり映えしなくなるからということである。

なるほど納得できる。確かに日々の生活の中に子供の時ほどにはワクワクドキドキは見当たらない。今仮に、上記のことを体感時間経過の第一則とする。

一方、理論物理学者のアインシュタインは時間の相対性を説明するのに「ストーブの上に手を置いている1分間は1時間にも感じられ、美女と同席している1時間は1分間ほどにしか感じられないだろう」といった比喩を使っている。これを一般化すると、つらい時間は長く感じられ楽しい時間は短く感じられる、ということである。

なるほど納得できる。同じ時間でも快と不快では随分と経過速度に違いがあるような気がする。今仮に、上記のことを体感時間経過の第二則とする。

ここであることに気付く。体感時間経過の第一則と第二則はともに納得できるものでありながら、矛盾するのである。第一則によれば、ワクワクドキドキすれば体感時間は遅くなる。第二則によれば、美女と同席すれば、つまりワクワクドキドキすれば体感時間は速くなる。これは一体どういうことであろうか。

ここで何とか第一則と第二則を矛盾なく説明できるような統一理論ができないものであろうか。これは難しいことである。何せ、矛盾とは言いつつもどちらもリアルな体験に基づいて首肯できるものだからである。

ただ一つだけ糸口があるとすればワクワクドキドキというキーワードである。例えば、同じワクワクドキドキでも子供のそれと大人のそれでは性質が違うと考えてみたらどうであろうか。

どういう訳だか我々大人は、「子供」「ワクワクドキドキ」この二つの言葉が並ぶと短絡的に楽しいものと思ってしまう。

とは言え、日々自分の知見が更新されて行くということは、日々自分の知見を更新させて行かなければならないということでもあるからそれなりに骨が折れるに違いない。子供にしてみれば「ワクワクドキドキ」することは存外苦役なのかもしれないのである。つらければ体感時間経過は遅くなる。

一方、大人の「ワクワクドキドキ」はそれを快と知った上でのことである。楽しければ体感時間経過は速くなる。統一理論の完成である。

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