逃亡犯条例改正に反対する香港のデモは200万人規模に膨れ上がり、香港政府は改正案を事実上の「廃案」にしたと伝えられています。メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』の著者で台湾出身の評論家・黄文雄さんは、今回の騒動について、香港はすでに中国の一部となっていること、「一国二制度」という言葉がまやかしであることを証明していると明言。2020年に総統選挙を控えた台湾にとって「いいクスリ」となることを期待しています。
※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2019年6月11日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう) 1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。
【香港】中国の「一国二制度」など絶対に信用できない
● 「香港人はあきらめない」 デモ参加の「民主の女神」周庭さん、東京で逃亡犯条例改正の撤回訴え
日本のメディアでも大きく報道されていたので、ご存知の方も多いでしょう。香港で大規模なデモがありました。「逃亡犯条例」に反対するためです。これは、
中国本土での事件に関与した疑いがある容疑者を香港当局から中国当局に引き渡す制度であり、この条例が成立してしまうと、冤罪(えんざい)で拘束された民主運動家などが中国大陸に移送され、不当な扱いを受ける恐れがあるのです。香港人たちは、人権も法律も無視した一方的な強制力を行使され、常に中国共産党の強権を恐れなければならなくなるのです。
いかに香港が「一国二制度」の名の元に中国化を強いられているとはいえ、基本的人権を無視するような条例の成立を黙って受け入れることはできないということです。雨傘革命以来の大規模なデモであり、香港政府施設周辺では警察とデモ隊が衝突しケガ人も出ました。
このデモに参加し、デモの翌日には日本で記者会見を開いて香港の窮状を訴えた周庭さんは、「香港はあきらめない」と誓うと同時に、日本人にも他人事ではないと警鐘を鳴らしました。
周庭さんは、17歳で雨傘革命に参加して以来、香港の「民主の女神」などと呼ばれる人物で、日本でも何度も講演活動を行っています。周庭さんは、条例が成立することで香港に公平な裁判や法律がなくなれば、国際金融都市としての魅力はなくなると訴えて、国際社会の関心や協力を呼びかけました。政治活動にも積極的に参加していますが、議員に立候補することさえ許されなかったようです。
しかし、はっきり言って香港はもうすでに中国の一部です。一国二制度というのは口実で、中国共産党に呑み込まれるのは時間の問題でした。今後、「逃亡犯条例」が成立してしまった後は、デモをするだけで逮捕され中国に移送されて、非人道的な扱いを受けることになるのです。
この騒動は、2020年の総統選挙を控えた台湾にとってはいいクスリです。中国の「一国二制度」という言葉がいかにまやかしかを証明してくれました。