さらに「大ぼら」の「効用」について、こんなことを言っています。
「自らの成長のために最も優先すべきは『卓越性の追求』である。そこから『充実と自信が生れる』」。
「ほら」には、3種類に分類される「ほら」があります。それは「志(こだわり)ぼら」と「欲ぼら」とそれらが混合した「混合ぼら」で、それぞれにはそれぞれの「効用」があるのです。大成功する経営者には「志(こだわり)ぼら」と「混合ぼら」の大家が結構多くいるようで、経営用語としては“ビジョン”とも言います。
今回の課題は、企業を大きく成長させるには「大きなほら=大構想」が必要だということで、「志(こだわり)ぼら」がないようでは、世界を相手にする「差別性」を実現させることはできなということです。この「大ぼら」ともいえる「大構想」の“マスター”は問われたら、それは「この世を楽土にする」と宣言した「松下幸之助」となりそうです。
ちなみに「混合型ほら」の代表者となると、草創期に従業員を相手に、「売上を豆腐のように一丁、二丁と数える(=1兆、2兆円)」と言い、会議の席では「これから始めるプロジェクトは、歴史に残るものになる。この会議はその始まりになる、歴史的会議だ」とそんなセリフをしょっちゅう言う「孫正義」ということになりそうです。
「卓越」せる経営者は、たえず継続して目線を上げます。また「一番になる」は、卓越するための必須の「習慣的な姿勢」です。
「京セラ」は京都市の西ノ京原町というところで創業したのですが、その始めから続けて、稲盛さんは自らの夢を繰り返し語ったそうです。「今に京セラをこの原町一の会社にするのだ。原町一になったら次は中京区一に、中京区一になったら京都一に、京都一になったら今度は日本一にする。そして、日本一になったら次は世界一だ」と。
なぜ、そうしたのかについては、それは「高い目標を設定する人には大きな成功が得られ、低い目標しか持たない人にはそれなりの結果しか得られません。自ら大きな目標を設定すれば、そこに向かってエネルギーを集中させることができ、それが成功の鍵となるのです」と心裏までも語っておられます。
日本電産の永守さんは、社名をブランド名や、海外子会社に使っている「Nidec(ニデック)」に変えるかもしれないと、株主総会で明かし、社長の世代交代も果たし、いよいよ「世界一」を完全視野に入れて、2030年度には売上高10兆円を達成しようと、また「“大ぼら”たる大構想」を披瀝しているのです。
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