外から招いて外に出る。「学校を社会に開いて始まる」教育改革

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学校という閉鎖空間での関わりが元になっていると思われる事件が毎日ニュースとして流れてきます。この国の学校教育の現状について何の問題もないと言える人がいるでしょうか?「大いに問題がある」と声を上げたのは、メルマガ『j-fashion journal』の著者で、ファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さんです。坂口さんは、「学校を社会に開きましょう」と教育改革の持論を展開。外部講師の積極的な招聘や、校外授業の充実、学校に縛りつける校則や宿題の廃止などを訴えています。

教育改革について考える

1.デジタルを基本に考える

小学校教育では、小学校より学習塾の方が進んでいる。小学校では文科省の学習指導要領に縛られており、全国の学校で同じ教育が受けられるように配慮されている。反面、公立学校間の競争はない。他校との差別化を考える必要もないし、努力しなくても学生は集まってくる。 一方の学習塾は競争が激しく、常に努力を続けている。最近は、インターネットによる遠隔授業や一人一台のタブレット配布により、効率的な学習が可能になっている。

私は小中学校の授業はデジタルを基本に考えるべきだと思う。一人一台のタブレットを与え、教科書は全てその中で確認できる。意欲のある学生はいくらでも先に進めるし、理解が遅い学生は繰り返し学習することも可能だ。 私はゲームのように、学習が進めばより高次元のステージが用意されれば良いと思う。同じクラスにいても、みんな異なるステージに挑戦している。それぞれの学生は能力も異なるし、勉強の内容も異なる。その多様性を認めることが、いじめをなくすことにもつながるだろう。 職業教育についても、デジタルな学習基盤が整備されれば、様々な職業の人のインタビューや職業紹介をすることが可能になる。

2.開かれた学校にする

次に考えるべきは、開かれた学校にすること。先生と児童だけを社会から隔離された環境に閉じ込めるから、ストレスも溜まるし、いじめなどの問題も起きやすい。 毎日のように外部講師が学校に来れば、教師や学生の社会性を高めることにもつながる。また、スポーツ系、芸術の授業は、専門の講師が教えることが望ましい。そして、子供の才能を見抜き、可能性が広げてあげることが重要だ。

いじめ問題が起きると、教育委員会が出てきて釈明するが、彼らはほとんど授業を見ていないし、学生との交流もない。私は教育委員会の役割として、常に授業に立ち会い、教師への指導を継続すべきだと思う。書類の仕事を徹底的に減らして、具体的な教育ができる体制にしてほしいものだ。 また、教育委員会と共に父母の代表も交代で授業参観をすれば良いと思う。常に外部の人が見ていてくれる環境にすることが重要なのだ。

3.校外授業の充実

タブレットを教材の軸にすることにより、校外学習も容易になるだろう。レポートは時間内にタフレットにまとめて通信する。そして、クラス全員のレポートを共有することにより、コミュニケーションも深まるし、チームワークも可能になる。 地場産業や地域企業の見学や地域内の様々な人々への取材などを授業に取り入れることにより、職業教育にもつながる。行政の施設等も学生が定期的に利用することで、存在意義が増す。地元の商店街等と学生が接することも商店街活性化につながるだろう。

学習は学校の中に留まるべきではなく、むしろ校外に出ることにより、地域が子供を育てるという考え方が定着していく。校外に出ることもいじめ防止にもつながるはずである。校内にいると逃げ場がないが、環境を変えることにより、開放感を感じるはずである。

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