NY在住日本人社長がスコットランド旅行で遭った数々の意地悪体験

 

目的駅の「インヴァネス」には、まだ半分も到達していない。窓の外は延々、田園景色。日本人には驚くほどデカイ風車が数え切れないほど。ポカポカと暖かい陽気が窓から差し込み、傾けた頭が気持ちよくイヤホンで音楽を聴きながら、寝てしまいました。

ふと目覚めると、イヤホンがとれて、音がダダ漏れ。そう大音量ではないとはいえ、慌ててイヤホンを回収し、通路を挟んで目があったスコットランド人老夫婦のおじいさんに、「sorry」と呟きます。照れ笑いをしながら。

彼は僕を一瞥し、フン、と鼻を鳴らして、ソッポを向きました。ご迷惑おかけしたかなと、続けて目があった隣の奥さまであろうおばあさんにも、同じように「sorry」と言うと、デジャブかのごとく、同じように僕を一瞥、見下すように鼻を鳴らして、嫌な顔をして窓に顔を向けました。大変、失礼致しました(汗)

日本やニューヨークのような反応を期待した僕の方がよくない。迷惑をかけたのはこっちだから。(それにしても、夫婦揃って、フンっ、って・笑)

早朝に出発したにも関わらず、途中、遅れもあり、インヴァネスに到着した頃には、正午を回っていました。そのまま駅の案内に従い、バステーミナルへ。目的地のネス湖があるドロナムナドロケットという村までバスで30分はかかるのだとか。

パラパラと雨が降るどんよりした空模様。背の低い平家が建ち並ぶインヴァネスは寂しい町に見えました。ガイドブックには観光名所と書いてあるけれど、外国人観光客がもしここまで来るとしたなら、やっぱりそのほとんどはネス湖まで行くのじゃないだろうか。バスターミナルには、ネス湖までの観光ツアーの張り紙が多く貼られていました。

バスターミナルでトイレに行くと、イギリスではよく見る有料のトイレ。駅の手動式の改札のようになっているトイレの入り口に30セントを入れて、潜るように進みます。前のおじいさんが、30セント入れた時点で、一緒にはいろうと、手招きしてくれました。たかが30円ほどでも、そのやさしさに触れると、特に旅先では嬉しくなります。

バスのチケットを購入するために、大して長くもない列でかなりの時間を待たされます。イギリス北部特有のゆったりした時間。やっと自分の順番が回ってきたところ、カウンターのぽっちゃりしたおばさんは、ちょっと待っててとトイレに行きました。5分ほどで戻ったおばさんは、自分の席にたどり着くまでの途中、同僚と世間話をひととおり終え、めんどくさそうに、僕に「どこまで?」と聞きました。ドロムナドロケットと告げると、おそろしくゆっくりした動作で、発券してくれます。「(発車は)1時間15分後ね」と。

平家の掘っ建て小屋のようなボロいターミナル。すぐ外を見ると、ドロムナドロット行きと書かれているバスがたった今、発車しました。「………あれに、乗れたよね」怒りを抑えて、聞くと「たぶん…そう。たぶん…いいえ。さぁどっちかしら」と悪びれもせず、あくびしました。トイレは仕方がないとはいえ。同僚とのどうでもいい世間話も我慢するとはいえ。どうみても、慣れない様子のアジア人の僕。普通にネス湖に行く観光客に見えるはず。こんなベンチ以外のなにもない古屋で雨の中1時間以上なにをして時間を潰すのか。(次回に続く)

image by: NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明

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全米発刊邦字紙「NEWYORK BIZ」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ1000人のインタビュー記事を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる。初の著書『武器は走りながら拾え!』が2019年11月11日に発売。

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