軍事アナリストが評価。災害対策訓練中止を告げた某県知事の意図

 

そこで、私も静岡県の本部運営訓練の前日、危機管理部の会議の席で言ってみました。「明日の訓練は中止」。私から事前に耳打ちされていた危機管理監を除いて、幹部全員が凍り付いてしまい、重い沈黙が支配しました。「さあ、どうする」。

ややあって、最高幹部の一人が言いました。「既に準備している自衛隊などとの調整が大変です」。私は、「中止命令を災害だと思えば、対処しないわけにはいかないだろう」と答えました。知事が中止命令を出さなくても、ほかの理由で中止になる場合もあります。そのときと同じように対処すればよいのです。

中止命令が冗談だと明かしたあと、私は災害に置きかえて考えることの重要性を説明しました。さきほどの最高幹部が「人災ですね」と苦笑いしながら呟いていましたが、人災も災害です。対処できないでどうするのかという点が問われています。

これが自衛隊だったら、迷惑そうなニュアンスで「人災」などと言わず、「奇襲」と表現するところです。奇襲対処は本来の任務ですから、不意打ちに堪えられなければ存在意義を問われます。

さあ、これから静岡県の訓練の中身がどのように変化していくのか、嫌がられながら、意地悪く見守っていきたいと思います。(小川和久)

image by: Rikujojieitai Boueisho [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons

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地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。

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