米国に迫る株価大暴落。次々と早期退職を始めた投資会社社員たち

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米中互いに譲らずここまで来た貿易交渉ですが、どうやら結果が見えてきたようです。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では著者の津田慶治さんが、トランプ大統領の「強気なディール」は失敗に終わったとしてその判断理由を記すとともに、米国の株価大暴落の可能性について論じています。

米国の負け確定か?

米中通商交渉や香港問題の緩和などで、日経平均株価が大幅高になっている。しかし、本当に通商交渉は合意に向かうのか?今後を検討しよう。

日米株価

NYダウは、利下げ期待で、7月16日27,398ドルと最高値を更新したが、その後下落して、9月3日26,000ドルになって、中国と米国共に米中協議を10月に始めるとしたことと、香港の容疑者引き渡し条例改正案の撤回を正式表明したこと、英国でEU離脱延期法案を可決し、かつ首相の解散提案を否決したことで、波乱要素がなくなったと、9月6日26,797ドルまでになっている

非製造業の景気は良く、製造業の景気は悪いが、その2つが相殺して非農業部門雇用者数が、前月比+13.0万人と雇用統計は、問題がなかったことで、リスクオン相場になり、後700ドルで最高値になる処まで戻ってきた。世界景気が下向きであるのに米国株価はきわめて強い

日経平均株価は、2018年10月2日24,448円になったが、以後低調で、12月26日18,948円と暴落し、8月26日20,173円までになってしたが、その後、9月5日米中通商交渉開始、香港と英国の問題解決方向で、前日20,648円で21,085円と急伸して436円高になり、9月6日続伸113円高の21,199円になった。200日平均移動線は、21,230円辺りであり、あと少しで奪還することになる。戻り相場になっている

大幅高の理由は、米中通商交渉開始や香港デモの混乱収束期待や英国の合意なきEU離脱延期などの世界的な混乱が収まる方向を歓迎した市場の期待から株高になったことは確かであるが、一番大きな原因は、現物・先物の売り越し残高が過去最高の6兆円になり、買戻しするタイミングを計っていた可能性がある。

特にAI取引が大きいので、AIは報道の言葉に反応するのでそれが大きく買いに出て、その後、株価の上昇を見て、他のアルゴリズム取引も追従した感じである。このため、大幅な株高になったようである。海外投資家は売り越しのままであり、全体的には強くはない。

9月6日の米国雇用統計も雇用数は予想より低かったが、賃金UPは予想より高く、問題なく通過した。しかし、臨時職の採用と週労働時間という2つの重要指標は今年に入って減少している。景気後退の予兆は出ている。しかし、問題がないことで、円は106円80銭当りと円安に振れている。また、1998年と2019年の株価動向は相関があったが、今週の株価大幅上昇で、1998年との相関は無くなった

米中通商交渉

米国が9月1日から関税UPの第4弾をしたことで、中国は関税を9月以前に戻さないと交渉しないとしていたが、米国の呼びかけに応じて、10月初旬に閣僚級会議を行うことで9月中旬からは事務方の協議を始めるとした。10月1日に建国70周年の記念行事があり、米国との交渉決裂の印象を与えたくないことで、中国が譲歩したようである。

しかし、交渉を開始するだけであり、合意になるかどうかは、これからである。トランプ大統領も振り上げた拳を、どう納めるのか、米国議会は対中国強硬路線を支持しているので、その面からも、トランプ大統領は、どうするのであろうか?

しかし、一方、中国との関係をこのままにすると、農業ローン延滞率が6月に記録的高水準に達したように米農家の倒産が増えて、かつ貿易阻害から、世界経済は0.91兆ドルを失ない、リセッション入りして、農家の不満と景気後退で選挙戦に入るとトランプ再選は無くなる

勿論、FRBに利下げをさせて、景気を維持させるかもしれないが、製造業の企業収益は大幅に縮小することが確実であり、利下げだけでは景気後退を止めることはできない。このため、中国とどこかで交渉を納める必要もある。

反対に、中国は、このままにすれば、トランプ大統領の再選がないことと民主党バイデン候補が親中的であり、資金も援助しているので、中国にやさしいことが期待できる。このため、今、急いで米国との交渉を妥結する必要はない。交渉引き延ばしが、ベスト解であり、習近平独裁の国内体制も完成できた状態である。米中通商交渉を合意方向に動き出した感じはない。

今までも、トランプ米大統領と習近平・中国国家主席は6月に大阪で会談し、中国側は米国産大豆2,000万トンを購入すると約束したが、これまでの購入量はその半分にとどまっている。一方、米国は中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)に米企業が部品を売ることを禁じた措置を緩和すると約束したが実行していない

中国は長期戦を戦うために、中国人民銀行に準備率引き下げや利下げ、人民元安、政府にインフラ投資など、実施できる景気刺激策をすべて行う方向である。それにより、景気後退を最小限にとどめたい考えである。中国企業は、ベトナムに工場を移し、ベトナム企業として米国に製品を輸出している。このため、中国のPMIは、50.4と50以上になってきた。

そして、中国は、報復手段としてレアアース(希土類)の米国への輸出制限も示唆している。このほか中国が米ボーイング製航空機の注文を取消す可能性もある。米国債の大量売りも考えられる。

逆に、クドローNEC委員長は、米中閣僚級の貿易協議で結果が出ない時には、制裁関税の拡大を明言。中国の譲歩を促したが、中国には譲歩の予定はない。また、「結果は予測できない」と。そりゃそうだ。情勢分析をすると中国優位になっている。

完全に米国が貿易交渉では負けが確定した。トランプ大統領が、どう交渉をまとめるのかに視点が移り始めている。強気のディール失敗である。イランも同様で、強気の交渉失敗である。ディール失敗をどう隠すかがトランプ大統領の課題ともいえる。

こうなることは、最初から予測していたが、その通りになった。米国の同盟国まで、貿易戦争を仕掛けて、米国の味方が日本しかいないことで失敗は確定した。

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