義政公の夢の跡。銀閣寺で室町幕府八代将軍も愛でた月を観る旅へ

 

7.江戸時代に東山殿が銀閣寺として再建された経緯

江戸時代初期、1615年に観月を意識して改築された東山殿は、銀閣寺として再建されました。この再建の時、義政が意識した観月のコンセプトが強化されています。向月台の造形もこの時に加えられたものだと伝えられています。銀沙灘という砂紋の白砂の庭園も同じく江戸時代に加えられ月に関係しています。

義政は月の引力によって潮の干満を繰り返す波の音をイメージして銀閣寺の二階を潮音閣と命名しています。銀沙灘は、月光が反射して銀閣をライトアップするようにかすかに銀閣に向かって傾斜しているといいます。江戸時代の銀閣寺の再建は、義政の観月への強い思い入れを強化したのです。思いのままに政権を運営することが出来ず不遇の生涯を送った義政への鎮魂の気持ちが再建時に込められています。当時銀閣寺を再建した江戸時代の人達はこのように義政の冥福を祈り供養したのではないかと推測されています。

いかがでしたか?さすが世界文化遺産といった数々のいわれがありますよね。表面的な部分を見ているだけでなく、どういう歴史的意義があるのかをよく観ると色々と違うものが見えてきます。沢山のものを見るよりも、一つのものを深く見ることは、返ってより多くのことを観ることになります。少しずつ観察力や洞察力を深めて見えないものを観る努力をしたいと思います。

さあ、いよいよ9月13日(金)から3日間、嵯峨嵐山の大覚寺で「観月の夕べ」が開催されます。今一度先週作成したばかりの以下の動画をご覧頂いて是非足を運んでみて下さい。

【聞いて学べる京都セミナー】(11)旧嵯峨御所・大覚寺「観月の夕べ」で中秋の名月を愛で

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銀閣寺と銀閣寺を英語で案内する20選シリーズの動画を近日中に公開する予定です。またメルマガでも動画配信のお知らせをしますので楽しみにしていて下さいね!乞うご期待。

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