韓国に住んでみてわかった、韓国人女性たちの愛の強さと逞しさ

 

二番目として、強さをあげることができると思う。ここでいう強さとは、語句そのものの意味での強さである。運転手に食ってかかる激しさについては以前どこかで述べた気もする。車で接触事故がおこっても、こちらの女性は負けてはいない。相手が巨体の男であろうがだれであろうが、こっちに非はなく悪いのはそっちだという主張をダンコとして行なう。その姿はほれぼれするほどだ。とにかく、言うべきことはすべて言う。ダンコたるところが見られる。なよなよ、へなへなしたところのない点は実に芯が通っている。

三番目としては、排出のパワーといったものだろうか。大の男をすくみあがらせるような大胆なところがありながら、内では非常にデリケートでハニーな面をもっている。その内なるデリカシーが傷つけられようものなら、内に閉じ込めておかずに外に排出する。好きなことは好きいやなことはいやとそのままいう。だからときには争いにもなるが、常に排出しているから、たまりたまって(黄昏離婚のような)大爆発を起こすということは比較的少ない。もちろん人間だからそういう女性もいるだろうし、そういう夫婦もいよう。が、全般的に見た場合、日本よりもこういう不意打ちの爆発は少ないように見える

日本において2007年4月の法律改正にともない、日本の妻たちは年金の半分を無条件もてるようになったことで、定年退職離婚が急増しているというではないか。ダンナの定年を待って、あるいは子どもの就職を契機に、とつぜん離婚すると通知するものだ。それまでのかいがいしさはどこへ行ったのかと思えるような光景が多々見られるようであるが、そういう図式はここ韓国ではちょっと想像しがたい。大爆発する前に小爆発しながら、その都度排出し軌道修正しているからだ。

最後に愛のパワーをあげたい。これは韓国女性だけに限ったことではなく、女性の本来的な性質の一つといってよいかと思う。やわらかく包み込むような愛である。この愛の強度がどうもここ韓国の女性は強いようである。夫や子どもを亡くしたりしたときの、地面をたたき、胸をたたき、頭をかきむしる姿。足を宙にうかべてバタつかせ、全身全霊でその苦しさ切なさを表現する。あれは愛の力ゆえのことであろう。韓国のニュースの画面に、そんな場面がときおり出る。そのたびに愛のパワーのすさまじさを思い知らされるのである。あの姿つまり原初的で動物的な姿は、日本の女性にはほとんど見られないのではないだろうか。理性的に、静かに涙を流すだけだ。これはおそらく愛のパワーが少ないというよりも、表現のしかたが異なるだけのことなのかもしれないけれど。

image by: Roman Babakin / Shutterstock.com

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韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

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【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

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