日本人観光客が前年比4~5倍に。中央アジアの「ある国」の真相

 

幻想的だったシルクロードのプロジェクションマッピング

このほかヒヴァの古代社会の遺跡やサマルカンドの古代寺院、美しい青のモスクなどを見学したが、なかでもサマルカンドのレギスタン広場でのライトアップや、3年前から始まったシルクロードやウズベキスタンの歴史をテーマとしたプロジェクションマッピングは圧巻だった。古代からの建築と現代のハイテク技術を駆使した夜空のショウは紀元前から続く中央アジアの美的感覚や感性を堪能させてくれた。

ウズベク側の熱いおもてなしに感激

今回の20周年記念旅行期間中は、ウズベキスタン政府や在日ウズベキスタン大使館などが、心を込めて歓迎してくれたイベントが続き、各都市での歓迎式典(ウズベキスタンの音楽やダンスなど)のショウや各市長、また代理の方による歓迎に参加者一同は大いに感動していた。

私にとっても過去の公式訪問やグループ旅行でこれほどの“おもてなし”を受けたのは初めての経験だった。また、今後、日本ウズベキスタン協会とウズベキスタン政府の文化・観光当局との共同プロジェクトを遂行することも約束した。

世界の人気観光地であるエジプト、トルコ、パリ、ニューヨーク、ロンドンなどがテロで揺れているせいか、中央アジア、特にウズベキスタン観光の人気の高まりはすさまじく日本人観光客も前年比で4~5倍に上っている。私たちが訪れた時期には500人以上の日本人が来ていたようだ。今回の旅程は、かなりきつく、中にはお腹を壊した人もいたが、ウズベキスタンの料理や果物も大いに楽しんだ訪問でもあり、大成功だった。現地ガイドの若いドストン氏や添乗員の遠藤美佐子氏の献身ぶりにも感謝したい。

中央アジアの隆盛が再び

中央アジアは、現在先進国に遅れ地政学的にも孤立気味なので世界から忘れられそうな存在になっている。しかし、紀元前1000~2000年前は、東西を結ぶシルクロードの中心のオアシス都市として栄え、東西の文物が行き交った文化文明の中心地だった。青いモスクや美しい建物にその面影をはっきりと残している。時代はいま日本や欧米の先進諸国に元気がなく中国や東南アジア諸国などが成長を遂げて投資を集めている

中央アジア地域も平均年齢が20~30代で人口が急増し(20年前のウズベキスタンの人口は2,200万人だったが、現在は3,200万人)、2025年には1億人に達するとの予測もある。人口増大は成長の柱であることを考えると、21世紀半ばには再びウズベキスタンを中心とする中央アジアの時代がやってきそうな予感がする。

(Japan In-depth 2019年9月20日)

掲載いただいたJapan In-depthの掲載ページには、現地で撮影した画像を合わせて掲載いただいております。ご興味をお持ちの方は合わせて、以下URLを参照下さい。

急成長ウズベキスタン訪問記

image by: Ivanchik / Shutterstock.com

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ジャーナリスト。1942年生。慶応大学経済学部卒業後、毎日新聞社入社。大蔵省、日銀、財界、ワシントン特派員等を経て1987年からフリー。TBSテレビ「ブロードキャスター」「NEWS23」「朝ズバッ!」等のコメンテーター、BS-TBS「グローバル・ナビフロント」のキャスターを約15年務め、TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」に27年間出演。現在は、TBSラジオ「嶌信彦 人生百景『志の人たち』」出演。近著にウズベキスタン抑留者のナボイ劇場建設秘話を描いたノンフィクション「伝説となった日本兵捕虜-ソ連四大劇場を建てた男たち-」を角川書店より発売。著書多数。NPO「日本ニュース時事能力検定協会」理事、NPO「日本ウズベキスタン協会」 会長。先進国サミットの取材は約30回に及ぶ。

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【著者】 嶌信彦 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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