「厳重注意するほどの問題なのか」との質問に対し石原氏はこう答えた。
「10月5日付の文書が郵政から来て、現場のチーフプロデューサーが、会長に制作権はない、と言ったことなどが書いてあった。NHKのガバナンスの問題として、会長の社員に対する教育が欠けているなと。視聴者に対して、郵政に対して、ちゃんとした答えをして納得いただく努力をしているのかということを調査した結果、厳重注意としたわけです」
要するに、鈴木氏の主張通りにしたということである。小川議員によると、NHK経営委員会が会長に「厳重注意」したのは、籾井勝人元会長が私的なゴルフでのハイヤー代をNHKに支出させたことが発覚した時を含めこれまでに二度しかないという。ふつうならチーフプロデューサーの発言で会長のガバナンスがこれほど問題にされたりしないはずだ。
鈴木氏はNHKのチーフプロデューサーが言ったことを放送法違反だと言いがかりをつけたが、「番組編集についての通則として、何人からも干渉・規律されない」(第3条)と定めた放送法に違反する圧力をかけたのは、ほかならぬ鈴木氏ではないのだろうか。ガバナンスの問題と称して、実質的には番組に干渉しているのだ。
また、NHK経営委員会は、会長を厳重注意としたさいの議事録の提出を求める野党各党に対し「作成していない」として拒んでいるが、このような重要事項の審議が記録されていないとすれば、それも違反行為に違いない。
日本郵政もNHK経営委員会も同じ穴の狢だ。過酷なノルマを達成するため歪んだ営業に追い込まれた郵便局員、その実態をより詳しく報じようとした「クロ現+」のスタッフ。彼らはこの見え透いた猿芝居をどのような思いで眺めているのだろうか。
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