冬になると思い出す。ウインターキャラメルの甘い味と白銀の世界

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カバヤキャラメル、紅梅キャラメルとともに、昭和の子どもたちの心を虜にしたフルヤのウインターキャラメル。スキーヤーが描かれたパッケージを覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。今回の無料メルマガ『郷愁の食物誌』では著者のUNCLE TELLさんが、ウインターキャラメルの魅力とその後を紹介しています。

北海道発、フルヤ・ウインターキャラメル

先にカバヤキャラメル(「日本中の子供たちの『知』を支えたカバヤ文庫が終焉を迎えた理由」)、紅梅キャラメル(「幸せだった昭和の思い出。記憶に残る紅梅キャラメル、今いずこ」)と取り上げて来たが、今回はフルヤ・ウインターキャラメル。大手の森永や明治の箱が縦型でオースドックスな左右対称のデザインなのに対し、横型で横にウインターキャラメルの文字、そしてなにより雪山でスキーヤーが二つのスティックを左右に大きく拡げジャンプしているイラストが印象的でユニーク、強い印象が残っている。

前回号の紅梅キャラメルでも引き合いに出した本、『駄菓子屋図鑑』(奥成達・ながたはるみ著/飛鳥新社)にもこのウインターキャラメルもむろん載っている。そこでは、1956(昭和31)年、イタリアのコルチナダンペッツオでの冬季オリンピック男子回転で猪谷千春選手が日本初の銀メダルを獲得、その時アルペン三冠王に輝いたトニー・ザイラーは世界的な人気者になるなど、スキーはこどもたちの夢みるあこがれのスポーツになった、そんな時代背景がこのウインターキャラメルのヒットに繋がったのだろうと推察している。

また、ウインターキャラメル、そのバニラエッセンスの香り、あの独特の香料は、60年代のお菓子大好き少年が最も気に入った味であり、「ウインターキャラメル」をかじると、強いバニラの香りが口の中に広がり、この強力さの前では森永や明治のキャラメルといえどもすっかりかすんでしまうほどだったとも。

カバヤは岡山のメーカーだったが、ウインターキャラメルのフルヤ(古谷製菓)は、北海道は札幌の会社である。会社設立は1912(大正元)年と古い。ウインターキャラメルのヒットなどの余勢を駆って本州に進出、工場なども建てたが、その後のヒットもなく、大手に押され1984昭和59年倒産

しかし、ウインターキャラメルを懐かしむ声は多く、その復活要望に応え、権利を引き継いだ明治製菓の子会社の札幌ウインターが期間限定で発売した模様である。少し前になるが、2010年3月記述の札幌在住のどなたかのブログでは、まだ札幌市内のスキー場やスポーツ洋品店などで売っていると出ていたが果たして…。そこで、ネットで検索してみたら、今年、2019年8月29日付けの北海道新聞のネット版か、「『ウインターキャラメル』再復活へ 創業家ひ孫の古谷さん、 20年にも発売』などの記事も出てきたが…。

image by: Shutterstock.com

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団塊の世代以上には懐かしい郷愁の食べものたちをこよなく愛おしむエッセイです。それは祭りや縁日のアセチレン灯の下で食べた綿飴・イカ焼き・ラムネ、学校給食や帰りの駄菓子屋で食べたクジ菓子などなど。

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【著者】 UNCLE TELL 【発行周期】 月刊

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