血の池・針の山・賽の河原…わたしたちは「地獄」を恐ろしい過酷な環境に置かれた世界と教えられてきました。しかし、本当の地獄を作るのは「人」だという考え方もあるようです。今回の無料メルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』では著者で現役教師の松尾英明さんが、「同じ環境でも天国か地獄かを決めるのは人である」とし、極楽の箸のエピソードから、譲り合いの大切さを説いています。
天国か地獄かを決める環境要因は、人
先日学級の「朝の話」でした話。
仏教における「天国と地獄」の話をした。
● 参考:仏教辞典 「三尺三寸箸 極楽の箸はなぜ長いのか」
私の学級の朝の会は円座して行うので、「円卓」という設定での話をした。この話の概要は以下の通り。
- 地獄も天国も円卓の中央にご馳走が並んでいる
- 1m以上ある長い箸でしか食べられない
- 地獄の住民は食べようと箸を振り回して周辺の人を傷つけ、自分も食べられず、けんかをはじめる
- 天国の住民は向かいの相手を優先して「どうぞ」と互いに食べさせ合う
簡単いうと、これだけのたとえ話である。
伝えたい内容としては「地獄か極楽かを決めるのは、モノではなく人」ということである。
どんなモノに囲まれた環境であれど、優しさと思いやりの溢れた人が集まれば、そこは天国になる。競争心と我欲に溢れた人が集まれば、そこは地獄になる。
人間界は、それらが入り雑じっている。天国は、作れる。地獄も、作れる。
学級も職場も家庭も同じである。誰がいればいいとかあの人がいるからダメだとか言っている間は、自分自身が地獄をつくっている。自分は何ができるのか、人を思いやって考えて動けば、自分自身が天国をつくっている。
「譲る」が本質的に幸せにつながるという所以である。
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