「同情」はNG。パワハラ相談窓口担当はどう話を聞いているのか

 

深田GL 「話が長くなってくると、特に『明確化要約』も大事です。『明確化』は、相談者の心のうちを担当者が言語化することですが、ずれた内容を何回も言ってしまったり、大きく的外れの内容を言ってしまったりすると、不信感につながるので気をつけてください。『要約相談者の話の要旨をまとめて復唱し相談者に伝え返すことです。相談者にとっては、正しく理解されている安心感を得ることができますし、考えや感情の整理にもつながりますよ」

G社社長 「日常の会話でも要約は大事だし、明確化で相手に気づきを与えることができると、話が進展することにもなりそうだね」

深田GL 「また、ときには、沈黙の場面もあると思います。でも、原則はしっかり待つのが良いです。沈黙は、相談者が考えたり、意見をまとめたり、気持ちを整理している大事な時間なので、耐え切れず沈黙を破ってしまわないようにしてください」

G社社長 「え?そうなんですか?話すのに困っているのかなと思うと、思わず助け船を出してしまいそうになりますが…」

深田GL 「どうしようもなく長く続くときは、『それで?』など、促すような言葉を使ってみたり、これまでの内容を要約してみたりするのは良いと思います」

G社社長 「へぇ~、なるほどね」

深田GL 「また、質問には、『はい』『いいえ』で答えられる『閉ざされた質問』とフリーに答えてもらえる『開かれた質問』があります。上手く使い分けると良いですね」

G社社長 「はー、質問によって、縦に開いたり、横に開いたりすることもできるっていうことは聞いたことがあります」

深田GL 「そうですね、上手く話を広げたり、深めたりできると良いですね」

G社社長 「他に気をつけることはありますか?」

深田GL 「相談者に、つい加害者をかばうような、『A上司はそんな風には見えませんが』等の発言で、セカンドハラスメントを招いたり、相談者の発言に刺激されて、同情したり、怒ったりすると客観性が失われますので、感情のコントロールも大事です。他には、担当者が関心のある部分のみ聴いてしまって、本当に理解してもらっているのか?と思われることもあるので、偏った聴き方にならないようにしないといけませんね」

G社社長 「偏った?…というと…」

深田GL 「たとえば、『売上目標が高すぎて、毎日、毎日、責められるんです。もう限界です』と聴いて、『売上目標はどのくらいですか?』と質問してしまうことです。この場合、目標の数字を確認することは悪くはないですが、まずは限界という言葉に関心を示すべきです」

G社社長 「あー、そういうことか。つい、僕も先に数字を聴いてしまいそうだな」

深田GL 「そうですよね。ビジネスライクのときは良いのですが、相談を受けている場では、順番を逆にして、まずは、気持ちにフォーカスしてください」

G社社長 「わかったよ」

深田GL 「最後に、あまりないことだとは思いますが、相談者に対して、批判的、攻撃的だったり、反論や言い訳、言い逃れ、また、気持ちを無視したりすると、これ以上話をしても仕方ない、話はできないと思われることになるので、決してそういうことのないようにしましょう」

G社社長 「再度、パワハラになっちゃうようで、それはマズイですよね。今日は、相談者についての身につけたいスキルを色々と教えてもらって、ありがとうございました。さっそく相談担当にも伝えていきます」

深田GL 「はい、是非そうしてください」

image by: Shutterstock.com

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