市長設置の第三者委員会
こうしたこともあって市長は第三者委員会を自らの付属機関として設置し、再調査を指示したのかもしれないが、同時に、早く調査を進めるようにと指示もしている。そのためか、第二の第三者委員会の調査ペースはかなりハイペースで進めている。これはこれで良いのだが…。
被害家族によれば、2019年10月に聞き取りがあった際、調査員から年内に結果を出すという発言があったという。この段階では、学校関係者15人程度と被害側の話しか聞いていない状態であった。すでにある程度のバイアスがあったとは考えられないだろうか。
被害女児の父によれば、調査員は「はじめの第三者委員会の報告に基づいて調査をしている」と言ったそうだ。これでは、前回調査の焼き回しになりはしないか、不安というより、やっぱりダメなんだという残念な気持ちがあったと話してくれた。
被害女児は不登校のまま
現在も被害女児のAさんは恐怖で家から外に出ることができない状態が続いている。事実、彼女は2月14日の事件以降、学校に通えていた時期もある。しかし、暴力を振るったBがその後もAさんに嫌がらせをしたり、これに学校が一切対応をしなかったこと、警察や児童相談所の対応などを含め、どこに行っても自分は危険な状態なのだと事実を持って刷り込まれてしまって、外に出ることができなくなってしまったのだ。
また、彼女は2月14日に代表される暴力事件や不適切な大人や組織の対応を原因として、PTSDを発症しているのだ。
特にこの小学校の対応は最悪であり、その酷さは枚挙にいとまがない。例えば、運動会で踊るダンスのDVDを運動会の直前に渡されたりしている。そのダンスには誰が映っているのだろうか、そんな直前に手渡されて、彼女はダンスを覚えることができるのだろうか。思いも配慮もかけらもないのだ。受け取る側は、「お前は来るな」というメッセージかとも思えてしまうだろう。
いじめ防止対策推進法によれば、被害者とその保護者の支援をするようにとの条文がある。本件において、十分に被害者のケアはされているとはいえず、むしろ、ズタズタにされたと言える。彼女は明らかに二次被害を受けており、この二次被害も修復が難しい大きな心の傷になっている。
八尾市市長には、本件を政治的なパフォーマンスに使わず、もう1度この酷い事件を丁寧に見直し、市として全力で被害者が心の平安を取り戻せるための支援をしてもらいたい。
編集後記
いじめの定義においては、一定の関係性があり、何らの行為があって、それを受けた側が心身の苦痛を感じれば、いじめとなります。だから、喧嘩があって互いに殴り合って互いに心身の苦痛を感じれば、これは2件のいじめが発生したとするのが正しい解釈となるわけです(これは東京都教育庁マニュアルの事例)。
ところが、一方が強力に暴行、これを防ごうと抵抗したものが互いにいじめと認められるでしょうか。例えば、正当防衛では、我が身や他人の生命身体を守るためであれば一定の攻撃は許されます。これが男女であったら、より強く認められても良いのではないでしょうか。
ある目撃情報によれば、2月14日夜、Bはその兄に激しく殴られていたとあり、翌日に目の周りが青くなっていたとの情報もありました。確かに首の捻挫をしていたかもしれない、しかし、それはAさんと揉み合ってできたものとは言い難いはずです。
また、現場となった公園には何度か足を運びましたが、そのいずれも保護者が公園にはいました。多くの子供たちが遊ぶ公園で、学齢の低い子や未就学児などはお母さん連れでした。また、意外と人通りがあり、公園前の道路は生活道路なっていて、自転車や徒歩の大人が通っていました。もしかすると、当時の様子を見ていた大人がいたかもしれないのです。
そして、当時の校長、この方は人権教育課の課長でした。役所の課長は一般企業で言えば部長・本部長クラスです。この方は、市の記録によれば、スクールロイヤーに相談し、弁護士から教授されてはじめて本件をいじめとして対応しなければならないと認識したとあります。
八尾市教育委員会ではいじめの対応指針などを公開するのは人権教育課の範疇です。このレベルの認識と知識で、よくもまあ、課長が勤まったものだとも思うし、このレベルでいじめに対応しようというのには無理があろうと思います。
これほど酷い暴行が起きて、被害者を加害者とするのは一般的に理解できません。本件については、Aさんが笑顔を取り戻せるまで、寄り添うと共に、調査を継続したいと思います。
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image by: Kansai explorer [CC BY-SA 3.0], ウィキメディア・コモンズ経由で