日本経済をスカスカにした真犯人、日本発「多国籍企業」の罪と罰

 

ですが、そうした計算は行われません。それは、経団連という団体が、終身雇用で守られてボーナスの支給対象となる正社員共同体の利害を代表する団体だからです。そもそも6月12月になると、ボーナスの季節になったとか、史上最高額だというのは、対象外の非正規の人々には腹立たしいだけです。にも関わらず、そうした表現が平気で使われているのです。

なぜかとというと、経済新聞を読んだり、こうした統計を見たりする人、は非正規労働者のことをほぼ100%無視しているからです。ということは、経済が2つに分かれているということです。つまりボーナスがあって、史上最高額のボーナスを受け取れる正規労働者の属している経済と、ボーナスのない非正規労働者の属している経済、日本経済と言っても、その2つは完全に分断されていると言っていいでしょう。

分断の一方である非正規労働者は、どうしてそんなに低い処遇で甘んじているのでしょうか?よく言われるのは「派遣労働法を作ったのが悪い」とか「就職氷河期があったので不公平だ」という批判ですが、そうした問題は結果に過ぎません

多くの企業が、日本国内の事務仕事に高い給料が払えなくなったので派遣労働が必要になったのであって、派遣労働法ができたから非正規が増えたのではありません。またいわゆる氷河期には、日本企業の業績が著しく落ち込んで、回復の見込みがなかったから新卒採用が極端に抑制されたのであって、これも結果としてそうなっただけです。

何が問題なのでしょう?そこにはもう第二の分裂という問題が絡んできます。それは「多国籍企業の全世界連結決算国内経済への貢献」という分裂です。

ボーナスが史上最高額という記事と並んで、最近よく目にするのが「企業の業績が史上最高」というニュースです。例えばトヨタの場合は、2019年4~6月期の売上高と当期利益は過去最高を記録したそうです。間違いではありません。ですが、問題はその「過去最高の意味です。

トヨタの構造を見ると、年間の生産台数は約1,100万台(最新の2019年4月~9月では545万台)ですが、大雑把に言って国内での生産は440万台で海外生産660万台で、海外生産の方が多いわけです。

また、国内生産のうち半分は輸出となっていて、つまり総生産台数1,100万台のうち80%は海外市場向けです。国内販売は年間ベースで220万台で、全体の20%となっています。しかも、この220万台のうち、3分の1に当たる65万台はトヨタグループ内の「ダイハツ」の販売となっています。要するに軽四なのです。ということは、例えば北米向けの車両の平均価格と比べると売上ベースでは半分以下ということです。

また220万を輸出していると言っても、中身は決して昔とは同じではありません。昔は、トヨタの場合、アメリカ向けには「輸出台数の自主規制」というものがあり、その枠を最大限に利用するために、「レクサスなど高級車、高付加価値者」を日本で作って輸出していました。

ですが、現在は違います。北米向けレクサスの生産も、ES(ケンタッキー)、RX(オンタリオ)など海外に出してしまっているのです。また国内で生産して輸出する場合は、国内経済への貢献は「卸値」だけです。そう考えると、トヨタ全体の中で日本のGDPに貢献しているのは10%ぐらいであると考えることができます。

ということは売り上げが過去最高とか、空前の利益といっても90%は日本のGDPとは無関係だということが言えます。雇用ということでも、基幹の技術職、マネジメント職も含めて、トヨタの場合はグループの中での外国人比率は50%を超えています。また出資している株主も海外が中心、取引される市場はNY、したがって配当金の行く先も海外です。

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