日本経済をスカスカにした真犯人、日本発「多国籍企業」の罪と罰

 

とにかく海外で稼いだ金は、日本には還流しません。多くの場合は、海外に再投資されます。その結果として、日本経済といっても2つの経済に分断されているわけです。1つは多国籍企業が世界中で稼いだ「連結」の数字です。もう1つは、日本国内の経済活動の全体を表す「GDP」です。

昔は、この2つの数字には相関関係がありました。ですが、今は違います。多国籍企業が世界中でどんなに稼いでも、GDPへの貢献は少ないのです。

だから、日本国内の経済はスカスカになっています。いつまでも牛丼店が思い切った値上げができないのも、無料の花火大会ばかりに人が殺到するのも、ブラックな外食産業が学生バイトを酷使してそれでも大した利益が出ないのも、日本国内の格差、貧困、社会苦がドンドン悪化して閉塞感が広がっているのも、この「日本型空洞化に原因があると思うのです。

こう申し上げると、それではトランプと同じ「経済ナショナリズム」だという批判が来そうです。それは私としては気持ちのいいことではありません。先ほど申し上げたように、日本は自由貿易によってグローバルな世界で勝って来たという感覚があるのです。ですが、もしかしたら、そこで勝って来たのは日本発の多国籍企業だけであって、日本経済は負け続けて来たのではないかそれがスカスカということの意味なのです。

image by: Michel Chappaz / Shutterstock.com

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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