では、各論に入っていきますね。話す時の見た目の印象の演出、具体的にできること、まずは、動作についてです。人前で話す時の、自分の体の動かし方ですね。
話す時に、普段は全然体が動かない人もいれば、普段から過剰に動かしてしまう人も、いると思います。ですから、ただ単に、もっと動かすことを推奨することはできませんし、逆に、動かすな、とも言えません。
人前で話す時の体の動かし方において、留意すべきポイントは、以下の2点に集約できると思います。それは、
- 聞き手の人数と距離を意識し、それを利用すること
- その動きが、話の意味、話し手の感情とリンクしていること
この2点です。
ひとつずつ見ていきましょう。まず、聞き手の人数と距離について。話をする時の相手、つまり聞き手は、人数と距離が、ほぼ比例するものです。
大人数になれば、距離は遠くなりますし、少人数、さらには1対1になれば、距離は限りなく近くなります。すべてはケースバイケースになりますが、その時々の、相手から見える視野・視界を意識する必要があります。1対1なら、当然、視界は狭くなり、相手から見える範囲は上半身だけ、ということがほとんどでしょう。
いっぽう、舞台上から話しかける場合は、距離が遠く、相手の視野も、舞台や会場全体が見渡せる状況ですから、聞き手にとっては、話し手は全身で話しかけてくる感じになるでしょう。体の動かし方が、同じであるべきはずはありませんよね。
では、自分一人で話す動画ではどうでしょうか?これは、1対1で対面するのと同じで、自分とカメラの距離が、聞き手との距離ということになります。
本来はこの聞き手との距離感によって、動作はもちろん、使う言葉も違ってくるべきであり、例えば、YouTubeの個人配信などは、形としては、全世界の不特定多数に向けているわけですが、話し手と聞き手の距離感は、まさに1対1で対面している状況なんですね。
しかも実際に視聴されるときは、ひとりにひとつの小さいモニターで見られることがほとんどです。ですから、配信する動画での呼びかけでは、「みなさーん!」というより、「いま、ご覧のあなた。」こちらのほうが状況に合っていて、より親密な雰囲気を演出することができます。
ただ、動画の性質上、客観視させたい、されたいケースもあるでしょうから、なんでもかんでも、1対1で親密な関係を演出することが、正解ではありませんが…いずれにせよ、話す時の見た目の印象の演出をする際に、聞き手の人数と距離を意識すべし、という、その距離感というのは、こういうことです。
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