元農水次官「懲役8年」。手加減なくDV息子を殺めた上級国民の罪

2019.12.13
by MAG2 NEWS編集部 HY
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農林水産相の元事務次官・熊沢英昭被告が、自宅で長男の英一郎さんを包丁で刺殺し、殺人罪に問われている事件で、検察が懲役8年を求刑したことをNHKニュース時事通信などが伝えた。

NHKニュースによると、熊沢被告は起訴内容を認めているが、弁護士は被告が長年にわたり発達障害の長男を献身的にサポートしてきたこと、事件直前にも長男に暴行を受けたり、「殺すぞ」と殺意を向けられていたりしたことなどに触れ、「いきさつや動機には同情の余地が大きい」と執行猶予付きの判決を求めているという。

しかし検察側は、被告が長男に親身に対応し、家庭内暴力を受けて失望していたことは理解できるとしつつも、「警察や専門家に相談する手段もあったがしておらず、首や胸を何度も刺すなど強い殺意による犯行で決して許されるものではない」と、懲役8年を求刑した。

この「懲役8年」という検察側の求刑を受けて、ネット上では「息子以外の他者に危害を加える可能性はないため、執行猶予で良いのではないか」「自分も被告と同じ境遇だったら、同じことをしたかもしれない」「いかなる理由があっても殺人は殺人、情状酌量は認められない」などと様々な角度からの意見が挙がっている。

今月16日に判決が言い渡されるが、Twitterに挙がっている市民からの様々な意見を紹介しよう。

「無罪」や「執行猶予」で良いという意見

川崎市で40代の無職の男が小学生らを切りつけた事件が、似たような年齢・境遇の長男と重なり殺害に及んだのではないかという報道が公判前にあったことや、被告の娘が長男のせいで破談になり自殺していたことが明らかになったことから、「未然に息子の犯罪を防ごうと思ったのではないか」「打つ手がなかったのではないか」と被告に対する同情の声も多く挙がっている。

妥当な判決、実刑は免れないという意見

一方で、やはり罪は罪であり、いかなる事情があろうとも、執行猶予ではなく実刑で罪を償うべきだという意見も見受けられる。

社会課題に対する問題提起も続々と

またこの事件や前述の川崎市児童殺傷事件を機に「8050問題」などが表面化した。また家庭内暴力に起因する事件も後を絶たない。被告と同じように、引きこもりなどで自立していない40〜50代の子供を抱えて孤立する高齢親への支援を必要とする声や家庭内で起きた問題を外部に相談しづらく、家族が一手に引き受けなければならない社会に対する疑問の声も聞こえてくる。

不平等な司法に対する憤りの声も

また今回の被告の量刑と、池袋で起きた暴走事故の飯塚幸三・旧通産省工業技術院元院長の処遇や、酒気帯び運転で小6女児を大型トレーラーでひき逃げした男に懲役4年が求刑されたことなどを比較し、「法の下の平等」であるはずの司法に対する疑問を投げかけるような投稿もある。

皆さんの考えはいかがなものだろうか。日本社会の陰にひっそりと隠れている問題を象徴するかのようなこの事件。まだまだ様々な意見が表出してきそうだ。

※本記事内のツイートにつきましては、Twitterのツイート埋め込み機能を利用して掲載させていただいております。

image by: Shutterstock.com

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