【書評】なぜ朝日新聞が生き残るには「右傾化」するしかないのか

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ネット上などではたびたび「反日」と揶揄される朝日新聞ですが、同社がこれまで「左右」の展開を繰り返してきたことをご存じない方も多いようです。そんな朝日新聞が今後生き残るためには「右傾化しかない」と主張するのは、朝日新聞が大嫌いな二人の論客。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』では編集長の柴田忠男さんが、故勝谷誠彦・倉山満両氏の対談を再構成した過激な一冊をレビューしています。

偏屈BOOK案内:勝谷誠彦・倉山満『がんばれ! 瀕死の朝日新聞』 

61K160n24jLがんばれ! 瀕死の朝日新聞
勝谷誠彦・倉山満 著/アスペクト

勝谷誠彦はコラムニスト。倉山満は歴史評論家、作家、皇室史学者、歴史エッセイスト。著者二人は大の朝日新聞嫌いである。

倉山 「やっぱり朝日はここで原点に戻って、軍国主義の極右新聞にならなきゃいけませんね」

 

勝谷 「なんたって社旗も旭日旗そのものなんだから」

ところで、大きな謎がある。何でも旭日旗に見立てて大騒ぎする韓国は、なぜ朝日社旗について物言いしないんだ。

以下、両者の意見をミックス。朝日は日本的な美徳は素晴らしいと素直に書けばいいのだ。文化欄や天声人語でいつもしったかぶりで、日本の美しさとか文化とか言ってるんだから、それを全部前面に出せばいい。朝日のお家芸は右傾化なんだから。朝日の歴史を見ていると、明治時代には右翼と極右がいて、大正デモクラシーで左翼と極左になって、満州事変でまた右翼と極右になった。

マッカーサーが来て左翼と極左になった。右展開と左展開を繰り返して来た。さあ、朝日右傾化計画。それしか生き残る手がない。また、記者の劣化という問題もある。かつては記者の能力は圧倒的に朝日が優秀だった。産経は頭が悪いし、毎日は貧乏、読売はヤクザ。ところが、今は劣化が甚だしく、取材先を右か左かでしか見ておらず、上か下かの概念がない。つまりプロ意識の欠如。

日本国憲法は日本の憲法ですらない。憲法は最高の法でなければならない。だが、日本国憲法の上位に米日安保条約がある。アメリカが一方的に日本の安全を保障する条約で、対等条約ではない。結局アメリカに日本を守ってもらっているだけで、憲法9条の理念なんて世界中の誰も知らない。国家が滅びるというのは、実は領土を取られるということよりも、憲法を奪われるということだ。

勝谷 「日本は民族として一回滅びた。これは不敬だから言葉を選ぶけれど、幸い、皇室だけは残った」

 

倉山 「不敬かもしれませんが、そうです。皇室が残ったことによって、ぎりぎり日本の国体は護持されたんです」

滅びた、というと宮沢俊義の東大憲法カルトは「8月15日に革命が起きた」と喜ぶ。180度転換したのは朝日新聞内部だけで、「鬼畜米英」が突然「平和の光」になった。

日本国憲法は左右とも、本当はぬるま湯から出たくないから、改憲はしない。勝谷の意見は廃憲である。学者の倉山は「それができれば一番いいが、それは天皇陛下以外にはできない。議会ではできない」という。議会とは憲法によって規定されている。議会の上に憲法がある。だから、改正ならともかく、議会の権限で廃止というのは無理がある。法理論的に議会にその権限はない。

でも、天皇陛下は違う。日本国憲法は帝国憲法の改正でできた。帝国憲法のできる前から、最初から天皇はいらっしゃった。天皇が日本の元首であるということは、帝国憲法に条文があるからそうなったわけではなく、元々そうだったのを帝国憲法で確認しているだけだ。天皇が先にあって、憲法はあとからできた。だから、憲法を廃止するとしたら、一度天皇陛下に大政奉還するしかない

本来はそれが筋となる。だから宮沢俊義が帝国憲法の手続きで帝国憲法を葬り去って日本国憲法を作ったように、その逆をやればいい。日本国憲法の手続きで帝国憲法を復活させる。これなら理論的に可能である。日本国憲法を廃止したあとどうするかというのは、帝国憲法を改正するという発想でやればいい。

2014年に出版された本。いくつかの対談をもとに再構成したもの。勝谷誠彦は2018年に、重症アルコール性肝炎で57歳の早すぎる死。

編集長 柴田忠男

image by: JHVEPhoto / Shutterstock.com

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