台湾はどの方向に向かっていくのか?
今回の選挙の結果が出た後、台湾では様々な変化がありました。国民党が大敗したため、党主席の呉敦義氏が辞意を表明しただけでなく、中国との関係をも見直す「政策変更」もあり得ると示唆しました。
そもそも国民党は、国共内戦に負けてから蒋介石親子までの時代は「反共」を国策としてきました。その後、蒋経国の時代になると台湾人の本土化や民主化が促進する危機感から中国に依存せざるを得なくなったのです。そんな状態が長く続き、国民党は腐敗していった結果、政権は民進党に奪取されたわけです。いまだに国民党の存立の基盤までが「中国依存」では、今後永遠に政権を取れないでしょう。
香港市民は、台湾に「国政選挙」があることに対して羨望のまなざしを向けています。その香港のお陰で台湾の若者も政治に目覚め、今回の結果を生みました。これを機に今後、香港と台湾の若い世代はますます「一蓮托生」の時代になっていくでしょう。
NHKが台湾の選挙結果についてのニュースを流している間、中国国内ではNHKのテレビ映像と音声が消され、画面は真っ黒だったそうです。おそらく、中国政府や中国共産党にとっても予想外に民進党が大勝したのでしょう。
このニュースは、国民が言論統制とデジタル管理下にある中国では触れることができません。新華社の報道は、民進党の「不正」ばかりを伝えていました。しかし、そんな報道は中国でしか通用しません。
また、南京軍区をはじめとする人民解放軍が表明した考え方は滑稽でした。「台湾人がますます祖国中国から離れていく」というのです。彼らは、中国共産党こそ真に「天意」「天命」を受けた祖国を守る党であり、人民解放軍は世界人類を解放し、「台湾を解放」する「歴史的使命」を達成するために、武力行使を本気で考えているのでしょう。
しかし、中国の「常識」は世界の「非常識」です。台湾の民意は世界の民意の一環として動いていることを彼らは知るべきです。
image by: 蔡英文 Tsai Ing-wen - Home | Facebook