中国のアメとムチ作戦が大失敗。台湾・蔡英文総統「圧勝」の意味

 

台湾は香港を見ていた

台湾の多くの若者は第二の香港になるのを恐れて蔡英文に投票したのでしょう。香港でデモをしている学生たちは、香港返還後に成長した若者たちです。中国の愛国教育をより受けているだろうと思われる世代が、中国に対して強烈な拒否反応を示しています。この点について日本では、詳しく述べることはタブー視されているのか、マスメディアであまり語られることはありません。

さらに、台湾の立法委員の友人に確認したところ、習近平は香港の青少年を大量に死に追いやっているとのことです。12月初頭の時点で聞いた死者の数は1537人でした。このことについても、日本のマスメディアでは一切触れられていません。そうでもしなければ習近平を国賓として招くことができないのでしょうか。

今回の選挙では、諸外国から台湾に多くのメディアが取材に来ました。最も多かったのは日本のメディアです。日本人が台湾の国政選挙に関心が強い理由は様々あります。そのひとつは、やはり中国の脅威に対する危機感でしょう。台湾の次は沖縄、そして日本本州が中国に狙われるという危機感です。

現在、台湾海域を通過する日本の輸送船は、1日平均200隻にものぼります。いわゆるシーレーン問題ですが、このシーレーンにおいて日本と台湾は運命共同体なのです。

冒頭に挙げたニュースは、軍事評論家の用田和仁氏によるものです。選挙前の台湾で、軍の参謀総長が乗ったヘリコプターが墜落し、同乗していた8人が死亡する事件がありました。用田氏は、これはもしかして中国からの警告だったのではないかと分析しています。中国が本気を出せば蔡英文など簡単に葬り去ることができる。中国は台湾を決してあきらめない、といったメッセージだったのではないかというのです。もちろん証拠は何もありません。ただ、その疑いがあるとうことです。

このことは私も想定していました。蔡英文のイメージダウンを狙ったと同時に、蔡英文が優勢を維持する選挙戦に水を差すことが目的の事故だったのではないかと。

しかし、それでも選挙結果は予想外に民進党の圧勝でした。台湾は、ここで一皮むけました。統一か独立かの選択をしたも同然です。これからの台湾は選択した道をひたすら前進するのみです。もう後退することはありません。

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