東京五輪の後か?異常高値の都心マンション「価格崩壊」Xデー

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高騰し続けていた新築マンション価格も、需要と供給の不均衡から価格崩壊が予想され早数年…。しかし、未だ価格の雪崩現状には至っていません。そこには何か「カラクリ」があるのでしょうか。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者でマンション管理士の廣田信子さんが、分譲価格高止まりの背景に潜むマンションディベロッパーや富裕層の「状況変化」を解説するとともに、「価格崩壊のXデー」は近いと記しています。

売れ残っているのに価格が下がらないのはなぜ?

こんにちは!廣田信子です。

2018年に首都圏の新築マンションを購入した世帯の平均年収は960万円と過去最高を記録。1,000万円以上の割合は37%で、5年前に比べ15ポイント増加しています。2018年にマンションを購入した世帯のうち、共働きの割合は66%これも過去最高で、5年前よりも9ポイント高くなっています。

結婚しても、正社員として仕事を続ける女性が増えています。共働きの30歳代のパワーカップルが、7,000万円、8,000万円のタワーマンションを普通に購入しているのです。共働き夫婦は、通勤時間が短いことを重視しますから、首都圏の2019年上半期の新築マンション販売戸数のうち、最寄駅から徒歩5分以内の比率が50%近くになっているといいます。駅近物件に需要が集中して、価格を押し上げているのです。

しかし、需要と供給の関係だけでない、分譲価格高止まりの理由が実はあるのです。マンション販売会社(ディベロッパー)はピーク時の2001年には429社ありましたが、金融危機で倒産や整理が相次ぎ、現在は110社程度まで減少しているといいます。1/4にまで減っているのです。

以前は、新築マンション広告で目にしたマンションシリーズで、今はなくなっているものがいくつもあります。体力のないディベロッパーは消えていったのです。しかし、過去分譲されたマンションシリーズは残っていますし、そのディベロッパー系列の管理会社も、他社に吸収されるなどして管理を続けているはずです。

マンション管理業界から見ると、この相次ぐディベロッパーの倒産が、ディベ系列の管理会社が販売後の管理の面倒をずっとみるというそれまでのお約束を大きく変えるひとつのきっかけになっていると思います。

ディベロッパー事情に話を戻すと…マンション販売は多額の資金を必要とし銀行から借り入れます。したがって、土地の仕入れ、建築費用を販売代金で自転車操業のように回転させていたので、早く造って、早く売って、お金を回収し、銀行に返済しないと、金利の負担に耐えられなかったのです。

ですから、竣工時には、全戸販売済みを目指し、実質的値下げ販売もありましたが、今は、体力がある企業しか残っていないので、売り急いで値下げ販売をするということがあまり見られなくなりました

特に、都心の再開発等を手掛ける住友不動産、三井不動産、三菱地所、野村不動産、東急不動産、東京建物、大京の大手7社は「メジャー7」と言われ、「メジャー7の販売戸数のシェアは、2007年には22%だったのが、2018年には46%にまでになっています。

これら大手は、マンション以外にもオフィスビル、ホテル、物流施設などを手掛け、多角化により、経営体力が増大しています。したがって、中小のディベロッパーは、土地を仕入れることも難しくなり、倒産や合併、業種変換をするしかなくなりました。中堅の特徴があったディベロッパーが、いくつも姿を消していきました。

「メジャー7」は、販売においても、企業体力があるので、値引きでマンションのイメージを損なうより、販売期間が長くなってコストが増えても価格を高く維持するという戦略をとっているのです。

その背景には、海外と比べると、投資物件としては、高値でもまだいけるという読みがあります。日本不動産経済研究所が昨年5月に発表した調査結果によると、東京都港区麻布の高級マンションの価格を100とした場合、海外の各都市の高級マンションの価格を指数にすると、香港が212.8(一連の騒動前の数字ですが…)、ロンドンが197.4、ニューヨークが105.3、となっています。中国等アジアの富裕層の投資先としては、まだまだ東京は割安だと言われているのです。

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