東京五輪の後か?異常高値の都心マンション「価格崩壊」Xデー

 

しかし、すでに、今の新築マンションの価格は異常値に達しているというデータもあります。東京カンテイによると、新築マンション価格が年収の何倍かをあらわす「年収倍率」は、2000年には7倍だったのが、2017年には13倍にまでなっています。平均的な年収の家族が買えない水準にまで達した新築マンションの価格が、これ以上、維持できるのかどうか…です。

昨年は、相続財産の算定基準に「路線価」を採用し、市場価格との大きな差を利用した節税対策」に、待ったを掛ける判決が出ています。裁判になった事例では、購入価格が13億7,800万円のところ、路線価では3億3,000万円。借入金があるから相続税0円として申告したものでした。いくら価格が高くても、その分、節税になるからいい…という価格設定も通用しなくなっていくと思われます。日本人の富裕層もこれまでのように節税目的のために購入することが少なくなっていくのではないでしょうか。

不動産業界の知人が、武蔵小杉のタワーマンションの水の被害でエレベーターが止まった様子が繰り返し報道されたのは、「タワーマンション高層階のイメージと投資物件としての価値に、大きく影響を与えたことは否めない…と。

同地域に、販売中、建設中のマンションがある場合は、ディベロッパーは必死で価格を維持しようとし、それが、中古マンションの価格の維持にも繋がっていますが、我慢比べにも限界があります。どこか一社が新築値下げに踏み切れば、他社も一斉に追従し、中古物件の価格にまで影響が及ぶということが、起こる可能性は否定できません。

需要と供給の関係を越え、売れていなくても価格が下がらないという市場の原理を無視した状況は、そう長く続くとは思えません。東京オリンピックというメルクマールは目前です。頼りの綱である、海外の富裕層の投資や節税目的の日本の富裕層の購入も、これまでのようには行かなくなるのではと思われます。Xデーに向けてのカウントダウンの音を感じるのは、私だけでしょうか。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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