「お客様からクレームがないから、自分たちの接客は問題ない」と受け取っているお店は少なくないようですが、声を上げないお客様すべてが「不満を感じていない」とは言い切れません。むしろ「声に出さない声」にこそ敏感になるべき、とするのは、飲食店コンサルタントの中西敏弘さん。中西さんは今回、自身の無料メルマガ『飲食店経営塾』で、「お客様の声なき声」に耳を傾けることがいかに売上アップにつながるかを解説しています。
「お客様の声なき声」に耳を傾けていますか?
僕 「最近、金曜の客単価が少し低下気味だけど、提供が遅くなっているということはない?」
店長 「いや、問題ないと思います」
僕 「なんで?」
店長 「お客様から、請求をいただくことがないからです」
とは、よくある店長会議などでの会話なのですが、お客様から「請求(まだですか?と声がかかる)がない」と、提供時間は問題ないと思っているスタッフは結構多いように思います。
「提供が遅い」ことによるデメリットはたくさんあります。まず、お客様満足度が下がりますよね?「あの店に行っても、なかなか料理とかドリンク出てこないしね…」と無意識に、お店選びから外されることにも繋がるでしょう(特に、ランチは)。それ以外にも、
- 居酒屋などでは、客単価が下がる(出てくるのが遅いから帰ってしまう)
- お客様の滞在時間が延び、売上低下につながる
- お客様の場の空気が悪くなる
などなど、といったデメリットもありますね。なので、提供時間というのは、飲食店にとって、とても重要な要素になってくるのですが、意外に「現場」ではこのことに対する意識が低いなあと思います。
なぜなら、自分たちは一生懸命頑張っているからです!提供が遅くなるのは、忙しいときのはずで、その時はどのスタッフも必死に一生懸命に仕事をしているからです。だから、「遅くなっている」という感覚は感じにくいものです(特にキッチンスタッフは…)。
こんな時、お客様が「待たされている」というのは事実なのですが、お客様も「忙しい」ときは多少気を遣ってくれているはずです。だから、少しぐらい遅くてもクレームを言わない人が多いのです。
なので、請求を受ける、クレームを受ける、というのは、「相当遅い」はずで、そんな状況は絶対に避けるべきであり、あってはならないことなのです。
だからこそ、「声にはださない声」にもっと気にかけるべきであり、この提供時間にこだわることも、お客様満足度を向上させる、そして、売上アップにつながるとても重要な要素になるのです。
飲食店は、料理があってこそなので、まずは「味」「品質」の向上に努めるべきでしょう。でも、その料理がでてこなかったら、話になりませよね?
「お客様からの請求がないから大丈夫!」などと思わず、今一度、「本当にお客様を待たせていないのか?」「少しでも、料理、ドリンクを早く提供する方法はないか?」と自分たちのオペレーションを見直してみてはどうでしょう?
仕込みの量を増やしたり、仕込みのやり方を変えたり、作業動線を見直したり、ホールとキッチンの連携方法を変えたりなどなど、提供時間を短縮する手段はたくさんあります。
お客様の声にこたえることはすごく大切ですが、「お客様の声なき声」に耳を傾けることも、売上アップには欠かせません!
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