ハベル氏はセーター姿で
それにしてもマゾビエツキ首相とハベル氏のインタビューのあり方の違いにはびっくりした。マゾビエツキ氏はすでにポーランド首相に就任し、官邸の立派な部屋でお付の人も控えた場所で一問一答を行なった。ハベル氏はまだ大統領に就任する前日の最後の詰めの時期だったこともあり、場所は事務所のようなところで、ハベル氏は黒のセーター姿の一般人の格好だったのだ。
ただハベル氏は午後になると宮殿のテラスに正装で登場し、国民に手を振って就任を喜んでいる風だった。前日に会った時の姿とは完全に違い、大統領の風格を身に付け国民の喜びと歓声に迎えられていた。私は広場の片隅で前日に会ったハベル氏が全く別人のように見え、人の運命が一夜にして様変わりする光景を痛くなるほど目に焼き付けた。
いまその東欧が保守化の傾向をみせているという。移民の流入が大きな要因だ。わずか30年の歴史で国の潮流も変わるものだ。
(TSR情報 2019年12月3日)
なお、ブログにはマゾビエツキ首相とハベル氏の当時の画像を掲載しておりますので、ご興味をお持ちの方は合わせて参照いただけると幸いです。
● 時代を読む