歴史は繰り返すか。東欧諸国が再び「保守化」へ舵を切り始めた訳

 

ハベル氏はセーター姿で

それにしてもマゾビエツキ首相とハベル氏のインタビューのあり方の違いにはびっくりした。マゾビエツキ氏はすでにポーランド首相に就任し、官邸の立派な部屋でお付の人も控えた場所で一問一答を行なった。ハベル氏はまだ大統領に就任する前日の最後の詰めの時期だったこともあり、場所は事務所のようなところで、ハベル氏は黒のセーター姿の一般人の格好だったのだ。

ただハベル氏は午後になると宮殿のテラスに正装で登場し、国民に手を振って就任を喜んでいる風だった。前日に会った時の姿とは完全に違い、大統領の風格を身に付け国民の喜びと歓声に迎えられていた。私は広場の片隅で前日に会ったハベル氏が全く別人のように見え、人の運命が一夜にして様変わりする光景を痛くなるほど目に焼き付けた。

いまその東欧が保守化の傾向をみせているという。移民の流入が大きな要因だ。わずか30年の歴史で国の潮流も変わるものだ。

(TSR情報 2019年12月3日)

なお、ブログにはマゾビエツキ首相とハベル氏の当時の画像を掲載しておりますので、ご興味をお持ちの方は合わせて参照いただけると幸いです。

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ジャーナリスト。1942年生。慶応大学経済学部卒業後、毎日新聞社入社。大蔵省、日銀、財界、ワシントン特派員等を経て1987年からフリー。TBSテレビ「ブロードキャスター」「NEWS23」「朝ズバッ!」等のコメンテーター、BS-TBS「グローバル・ナビフロント」のキャスターを約15年務め、TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」に27年間出演。現在は、TBSラジオ「嶌信彦 人生百景『志の人たち』」出演。近著にウズベキスタン抑留者のナボイ劇場建設秘話を描いたノンフィクション「伝説となった日本兵捕虜-ソ連四大劇場を建てた男たち-」を角川書店より発売。著書多数。NPO「日本ニュース時事能力検定協会」理事、NPO「日本ウズベキスタン協会」 会長。先進国サミットの取材は約30回に及ぶ。

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【著者】 嶌信彦 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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