海を臨む洋画家の美術館からの思いがけない依頼
国立西洋美術館に話を戻すと、館内の絵画は数があまりにも多すぎて、「じっくり」が出来ない自分に気づいた。ピカソを見た直後にはクレーがあり、そしてミロに移る。少々、感性(あくまで私の中にある実力相応のものである)が悲鳴を上げたようにも思う。
もちろんショーケースの役割としては、多くの生の絵を目の当たりにすることで、自分の好みを知るきっかけにするのはよいかもしれないが、それは主体的に見なければ、なかなか湧いて出てくるものではない。
そんなことを考えていたら、ある洋画家の美術館の方から連絡があり、美術館を公的な役割を担う・運営するために知恵を拝借できないかとのお願いがあった。この美術館は一人の洋画家の単体の美術館で空間も素敵だし、海を臨む眺望も素晴らしい。託された家族は、じっくりと絵を見てもらうような美術館にしたいと言う。
私も知恵を絞ってお力になりたいと考えているが、この建物もなかなか立派で素敵な階段があることを思った。海を臨むロケーションはレマン湖畔にあるコルビュジエの「小さな家」も想起させる。さて、どうなることだろうか。
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