自分の人生を生きたい。DeNA創業者が語るハチャメチャな創業経緯

 

ONE TEAM(ワンチーム)

DeNAの創業者は南場智子さんで創業の経緯が面白い。「普及が進んでいた携帯電話でオークションサイトをやったら面白いんじゃないかというアイデアを思いついて、コンサルタントとして他社の知り合いに熱心に勧めたのです。するとその人から『君がやればいいじゃない』と言われた」でその気になったそうなのでした。

その時の気持ちについて「情熱がわきおこってしまい、とにかくやりたくてたまらなくなってしまったとしか言えないのです。私は10年もコンサルタントをしましたから、えらい論理的な人になっちゃって、ヤバかったですよ、本当に」と話されているのですが、そこには「自分自身の人生」を生きたいへの“思い”があったからだそうです。

余談になりますが、この“自分自身の生き方”へのこだわりは、多くの“大きな業績を成した経営者”が持つ共通の基本資質のようです。だから「自ら未来をつくろうとする人」のみが大きな成果に至ります。

さてDeNAの南場智子さんが「起業すると決めたとき真っ先に何をしましたか」と聞かれた時、こんなことを言っています。「仲間をつくりました。最初に声をかけたのはマッキンゼーにいた川田尚吾氏。起業の経験もあったので、相棒として彼を選んだのは大正解。このほかにも、リクルートとかIBMにいた人たちが来てくれました。彼らが『南場さん、社長ならこういうふうに決断してほしい』などと教えてくれたんです。コンサルタント的な発想の私を、仲間が経営者的な発想に引っ張ってくれたと思います」と答えています。

ここでこのことを持ち出したのは「Society 5.0」で活力ある事業を行うについての組織や経営のあり方について見つめたいからなので、このあり方について、特に初期については「ハチャメチャ」とも取れる活力のある柔軟構造のチーム型組織が好適であるかのようでして。自由なコミュニケーションの中でこそ、未来構想が生れるからです。

これについて南場智子さんは「経営者としてどんなことを大切にされていましたか」と聞かれたときの答えが現実的でおもしろく、「『経営にはこれが一番大切だ』といった教科書っぽいものはありませんでした。ただ振り返ってみるとそのときそのときの目標に向かってできることはとにかく全部やるというスタンスでした」と答えています。

そして「初めてサービスが出たとき、みんなの喜び方が純粋でした。そういう純粋なみんなと目標を共有して、全力で頑張ることを楽しめるチームにしたいなと思っていました」と素直なのです。

「経営の秘訣は何ですか」と尋ねられ、「同じ目標に向かって全力を尽くし、互いに切磋琢磨し、ときに激しく競争しても、チームのゴールを達成したときの喜びが全員に共有され、その力強い高揚感でシンプルにドライブされていく組織をつくろう」。ここで“キー”になるのは「同じ目標を持つチーム」となります。

ここから「何をしなければならないか」について、分かっているのは「自分たちが決めた“目的”と“目的の方向性”だけ」だったようで、これが、どうも“強み”が生れ出る経営環境のようで、これがごく一般的になりそうで、そこで「変化が分からない専門知識のない“上司”」で、どのように“管理”ができるというのでしょうか。

“知識専門家”を活かすには、どうも別要素の感性が必要のようです。「今仕事がうまくいっていない社員がいても、カチッと何かが符合すれば、見違えるように伸び伸び活躍し始める可能性があるわけだ。はじめからできるスーパースターばかり頼るのではなく、人の力を信じて引き出せる会社にして行きたいと思う」とまるで“部活”のようです。

“知識社会”では“知識”が“最大の資源”であります。ここでの“経営の優勝劣敗”の要は“知識労働者の能力”とそれを優勝に導いてゆく“マネジメント”となります。「知識労働者がすべて同質のものだなどと考えたら、大間違いである」。すべての人が“異質な知識専門家”で、どうリードするのか。

それはラグビーワールドカップで躍進した「ONE TEAM(ワンチーム)」を彷彿させているかのようで、また南場さんの言葉ですが、「初めてサービスが出たとき、みんなの喜び方が純粋でした。そういう純粋なみんなと目標を共有して、全力で頑張ることを“楽しめるチーム”にしたいなと思っていました」と、一体どうなっているのかです。

アメリカの経営史学者アルフレッド・チャンドラーの著書『組織は戦略に従う』の序文にこんなことが記されています。「過去の歴史から、組織のマネジメントに当たる人々は、大きな危機に直面しないかぎり、日々の業務の進め方や権限の所在を変えることはまずない」と、今の時代は旧来型の組織にとって“大きな危機”です。

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戦略経営のためには、各業務部門のシステム化が必要です。またその各部門のシステムを、ミッションの実現のために有機的に結合させていかなければなりません。それと同時に正しい戦略経営の知識と知恵を身につけなければなりません。ここでは、よもやま話として基本的なマネジメントの話も併せて紹介します。

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【著者】 浅井良一 【発行周期】 ほぼ週刊

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