新型肺炎で隔離の「クルーズ船」対応で手腕が問われる2人の大臣

 

もっと言えば、今回の危機管理は東京五輪を成功裏に運営できるかの試金石だと思います。「おもてなし」などと言いながら、何かが怖くなったら「よそ者」には平気で冷酷なことができる、そんなイメージが広まってしまったら、オリンピックの成功は覚つかないと思います。

加藤厚労相は、ここが踏ん張りどころです。省内では、大臣のスタンドプレーで振り回されて、前例や原則が変わるとメンツが潰されるといった役人根性が蔓延しているかもしれませんし、役人出身の加藤大臣としては、怖くてそれには手出しできないのかもしれません。ですが、そんなことをやっていては、この政治家は破滅してしまいます。

もう一人、茂木外相も同じです。乗員乗客の母国にあたる各国政府と協力して、安全にかつ速やかに乗員乗客を帰還させる、そのための複雑な調整を、既にやっているにしても、加速させていただきたいと思います。

例えばワシントンの国務省筋の人達は「日本のタテワリギョウセイ」についてはよく知っています。だから最初から諦めているのかもしれませんが、とにかく政府として調整して、最善の方法を考えて迅速に実施すべきです。

少なくとも、中国政府のほうが柔軟で現実的な対処をしてくれた、などという印象が広がっては、それこそ国益に関係してくると思います。

image by: Vladimir Arndt / Shutterstock.com

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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