本当に五輪は開催されるのか?世界から日本へ向かう「厳しい眼」

kitano20200225
 

新型肺炎患者の増加で、後手に回っていることが明らかになった日本政府の対応に対して、「政府は無能」と酷評した作家百田尚樹氏。この主張に野党も乗る形で政権批判が繰り広げられていますが、問題の本質は別のところに眠っているようです。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、「安倍支持派」として知られる百田氏の発言内容から、新型肺炎の対応に巣食う問題を考察しています。

百田尚樹氏「皆さん、政府は無能です」

百田尚樹さんといえば、

  • 永遠のゼロ
  • 海賊とよばれた男
  • カエルの楽園

などで知られる大ベストセラー作家。そして、「安倍支持者」として知られています。有名な方なので、説明は必要ないと思いますが。そんな百田さんも、「新型コロナウイルス」に対する安倍政権の対応には失望しているようです。デイリー2月16日から。

作家の百田尚樹氏が16日、ツイッターに新規投稿。新型コロナウイルスに対する政府の対応が十分ではないとの考えを示し、「皆さん、政府は無能です」と呼びかけた。百田氏は「皆さん、政府は無能です。国民の命を守るんだ!という意志も能力もないことが明らかになりました。自分と家族の命は自分で守りましょう!お互いに、生き抜きましょう!」と投稿した。

「政府は無能」「国民の命を守るんだ!という意志も能力もない」。強烈な批判です。

百田氏はこれに先立つツイートで「私は先月来ずっと『中国からの入国を全面ストップしろ』と言ってきたが、政府は動こうとしなかった」とし、「政府の危機感の無さに唖然としたが、よく考えてみると政府だけの問題ではなかった。あの時メディアや多くの識者も『大したことにはならない』と言っていた。つまり日本人全体が安心していたんだ」と投稿した。
(同上)

「政府も、メディアも、識者も『大したことにはならない』と言っていた」というのは、「そのとおり」ですね。さらに百田氏は、東京五輪が開催できるか、疑問を呈しました。デイリー2月20日。

作家の百田尚樹氏が20日、ツイッターに連続投稿。新型コロナウイルスの日本での深刻な感染拡大やロンドンでの代替開催案が英国で出始めたことなどを受け、「もう東京オリンピックはないね」と、今年7月開幕の東京五輪が中止になる可能性を視野に入れた。

これ、「そんなバカな!」という話ではないみたいです。

英国では、5月に行われるロンドン市長選の主要2候補が現地19日、日本での新型コロナウイルス感染拡大で東京五輪が中止となるケースを想定し、2012年に開催された施設のあるロンドンでの代替開催誘致に名乗りを上げている。
(同上)

そうはいっても、百田さんは「反安倍」になったわけではないそうです。デイリー2月17日。

百田氏は「私が安倍総理を批判したと知って、野党支持者やリベラルのバカ連中が『百田尚樹が反安倍に寝返った!』と喜んでいるが、お前らに言っておく」と切り出し、「今回、安倍政権は無能ぶりを露呈したが、野党の無能さは安倍政権など足元にも及ばないレベルだから!」と糾弾した。

安倍政権は無能だが、野党はもっとひどいと。確かに、野党が「中国からの渡航を全面禁止しろ!」と主張しているのを聞いたことがありません。あたかも新型コロナウイルスなどないかのごとく、「桜を見る会」の話ばかりしています。

いずれにしても、安倍内閣の新型コロナウイルス対策にはがっかりです。いえ「国民の命より、中国への忖度を重視した」ことを思えば、「がっかり」とか「失望した」という表現では弱すぎるでしょう。

とはいえ、百田さんがおっしゃるとおり野党にも期待できません。私たちは、忍耐強く、官邸に働きかけていきましょう。『ショーシャンクの空に』のアンディーのように。

image by: 首相官邸

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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