なぜ老舗の日本橋三越がビックカメラをテナントに入れたのか?

 

今回の三越もビックカメラの誘致は、こういった効果を狙っての施策なのですが、歴史がある老舗の三越がただ単に家電量販店を置く、ということではなさそうです。私も実際に行ってみたのですが、通常のビックカメラの店舗とは異なり、まず入ったところには、大きくゆったりとした、テレビを売っているスペースがあります。そこには、ソファなどがあり、顧客がくつろぎながら接客を受けられるようになっています。

置いてあるテレビも、300万円くらいの、かなり大きな8Kテレビなどがあり、空気清浄機や、キッチン家電も高額・高級家電が中心です。さらに、最新のコーヒーマシンやキッチン家電を使った、試飲や試食も可能だ、とのことです。やはり、三越の本来のお客様筋に合わせた店舗内での内装で、揃える商品もそれに合わせてのラインアップになっているようです。

また、日本経済新聞によると、商品や内装だけではなく、「販売員には三越がビジネスマナー研修を実施。服装もビック定番の赤いベストではなく、スーツを着用してもらう」とのことでした。

すなわち狙いは、「顧客の商品選びのサポートやアフターサービスも強化する」ことで価格だけではないところで勝負する、すなわち単に物というハードを売るということだけではなく、お馴染みさんたちの生活に即したソフト的なことも販売していく、ということが垣間見えます。

お客様というのは、何かを買う時にいろいろなことを考えて買います。もちろん1円でも安い方がいい、という買い物をするときもありますが、大事に長く使いたいからしっかりと選びたい、という需要もあります。

三越のような老舗百貨店は、長くお客様でいてくれるお得意様をたくさん抱えているはず。これらのことを考えてみると、単にデパートに集客力のある家電量販店をもってくる、という安易な発想ではなく、戦略をきっちりと描いての今回の誘致、と言えそうです。理にかなっていますよね。

今後の三越日本橋店が、ビックカメラとともにどんなサービスを提供していくのか、注目に値する取り組みです。

image by: Osugi / shuttersyock

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