100年ブランドを3つも抱える「アサヒ飲料」の絶好調が続く秘密

 

100年続くロングセラー~カルピスの意外なルーツ

大阪府箕面市。この街にカルピスのルーツとも言える場所があるという。岸上が案内してくれた先は教学寺という小さなお寺。境内には記念碑があり、三島海雲の名が刻まれている。

「カルピス創設者の三島海雲はこのお寺で出生したのです」(岸上)

三島海雲はお寺の出身。カルピスを作ることになったのにも、その生まれが大きく関わっていた。

「やはり私利私欲ではなくて、世のため人のためにどうしたらいいかを生涯貫き通した人。日本の皆さんが健康になるおいしいものを作りたいと」(岸上)

海雲は子供の頃、病弱だったという。しかし晩年は、「何度も何度も富士山に登っていた人ですから」(住職・塚田博教さん)、「92歳まで社長をやった人ですからね」(岸上)と、年をとればとるほど元気だった。

カルピスは体にいいと身をもって示した創業者だった。

~村上龍の編集後記~ 

「初恋の味、カルピス」、素晴らしいキャッチコピーだ。だがカルピスは、甘酸っぱいだけではない厳しい経営環境をサバイバルしてきた。

岸上さんは、カルピスとともに歩んできて、三ツ矢サイダー、ウィルキンソンなど、歴史を持つ商品を擁する「アサヒ飲料」を率いることになった。幸福な組み合わせだと思う。

カルピスは、三島海雲という人物が創り出した。以来100年、基本的な製法は変わっていない。創業者の名は象徴的だ。多くの危機に遭遇したが、カルピスは「海上の雲」のような爽やかさを決して失うことがなかった。

<出演者略歴>
岸上克彦(きしがみ・かつひこ)1954年、京都府生まれ。1976年、立教大学経済学部経済学科卒業後、カルピス食品工業入社。2015年、アサヒ飲料代表取締役社長兼カルピス代表取締役社長就任。

(2019年7月25日にテレビ東京系列で放送した「カンブリア宮殿」を基に構成)

テレビ東京「カンブリア宮殿」

テレビ東京「カンブリア宮殿」

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